ブランディングに生成AIは活用できる?「違和感」がもたらす新機軸
ライター:株式会社ネオマーケティング
公開日:2024年11月11日
| 更新日:2025年03月25日
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ブランディング
2022年11月30日にChatGPTが発表されたことを皮切りに、生成AIへの注目度が急速に高まりました。テキストベースのチャットに限らず、AIへの指示文であるプロンプトを元に画像を生成する技術なども急ピッチで発展を遂げつつあります。
今回は、生成AIをブランディングに活用することは可能か、企業による実際のプロモーション事例なども紹介しながら紐解いていきます。生成AI活用の可能性に興味のある方はもちろんのこと、ブランディングへの活用方法を模索している方は、ぜひ参考にしてください。
ブランディングと生成AI
生成AIの特性とブランディングへの活用の可能性
生成AIのブランディング活用の現在地と今後の展望
生成AIのブランディング活用について、現状と今後の展望を考えていきます。生成AIの活用を検討している事業者の方は、自社が想定している活用方法のブラッシュアップに役立ててください。
目新しさはあるものの一過性の試みに終始しがち
生成AIのブランディングへの活用は、現状では事例が少なく目新しいものとして多くの生活者に映る可能性は十分にあります。一方で、前章にて紹介した調味料メーカーの事例においても顕著であるように、「生成AIが駆使されている」といった一過性の話題づくりに寄与したとしても、持続的なブランディング施策として功を奏するかどうかは不透明です。
したがって、少なくとも現状では、生成AIの活用が中長期的なブランディングにつながるかどうかは未知数と言わざるを得ないでしょう。生成AIのブランディング活用はあくまでも単発の施策と捉え、持続的な効果を過度に期待しないことが大切です。
ストーリーや文脈を考慮した発信が必要
ブランディングを成功させる上で「ストーリー」や「文脈」は欠かせない要素です。生成AIを活用していない従来のブランディング施策のうち、こうしたストーリーや文脈が長年にわたって効果を発揮している事例を紹介します。
和菓子の製造・販売を手がける老舗メーカーでは、伝統的な和菓子づくりの技術を重要なブランディングの軸として位置づけてきました。商品にはパッケージも含めて日本特有の自然の美しさや季節の移ろいが表現されており、それらが老若男女を問わず人々の心を捉え続けているのです。
こうした格式の高さや顧客の心の奥深くに刻まれている信頼感は、短期間で容易に「生成」できるものではありません。商品デザインのみならず、店舗での丁寧な接客、行き届いた店舗デザイン、贈答品として誰もが認める品質が総体となってブランドを形成しているからです。
現状の技術レベルを踏まえると、たとえ生成AIが進化しても伝統的な慣習・歴史といった長い時間軸を織り込んだストーリーを生み出すのは困難でしょう。多くの生活者の心を捉え、長年にわたって愛され続けるブランドを構築するには、人の介入が不可欠です。
「不確実性」や「違和感」がカギを握る
冒頭で述べたとおり、生成AIを支える技術の核心は「関連性を予測する」ことにあります。大規模言語モデル(LLM)は本質的に「確実性」「順応性」を重視している一方で、虚偽の文章をあたかも事実であるかのように生成する「幻覚(Hallucination)」と呼ばれる現象も数多く確認されているのが実情です。
こうした現象は、一般的には生成AI活用のリスクや注意点として喧伝されています。しかしながら、ブランディング活用という視点で捉えた場合、生成AIが生み出すコンテンツの「不確実性」や「違和感」が、人間には構築し得ない新たな感覚として受容されていく可能性は十分にあるでしょう。人間が感じ取る「意外性」をどこまでチューニングできるかが、生成AIのブランディング活用が実現するかどうかを決定づけていくのかもしれません。
まとめ
今回考察してきたとおり、生成AIのブランディング活用は発展途上の段階にあり、現状では決定的な活用方法の確立や効果の立証はなされていません。一方で、従来のブランディング施策とは異なるベクトルにおいて、生成AIの特性が活用されていく可能性は十分にあります。ブランディングにまつわる企画立案やプロモーション施策において、生成AIの活用を少しずつテストし始めてみてはいかがでしょうか。
※このコラムは「マーケのカチスジ」で2024月3月26日に公開された記事を移行したものです。
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