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広告効果測定とは?測定方法と評価指標の項目について徹底解説

ライター:株式会社ネオマーケティング

公開日:2021年06月22日 | 更新日:2024年09月30日

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目次

マーケティング予算の大部分を占めるプロモーション。その中でも大きな予算を取って行う広告施策は、例えば認知目的であったり、購入プロセスを前に進めるためであったりと、必ずしも成果が売上と紐づかない場合もあります。そのような時、その広告が本当に効果があったのか、ということを、マーケターは把握しておかなければなりません。今回は「広告の効果測定」についてご紹介します。

広告効果測定とは

「広告効果測定」はその言葉どおり、テレビCMや雑誌や新聞、ウェブ媒体へ出稿した広告に、どの程度効果があったのかを測るものです。
広告効果測定は大きく二つのケースに分けることができ、その一つが、広告を打つ前にそのクリエイティブがどの程度評価されるのかという調査。もう一つが、広告を出稿後、どれだけの効果があったのかを調査するものです。当社でも、広告出稿後の効果測定について頻繁にご相談いただきます。今回はこの出稿後の広告効果測定を行ううえで、どんなポイントに注意を払い調査設計を行っているかをご紹介します。

広告効果測定の考え方

広告効果測定で大切なのは、広告そのものの評価だけでなく、広告展開の目的がどの程度、達成されたかです。広告がどの位、生活者に届いたのか?どういう印象をもって受けとめられたのか?商品やサービスがどの程度、認知されたのか?購入や紹介といったアクションに結びついたのか? 
こうしたことを知るためには、比較視点が重要です。

●期間での比較

広告の前と後でどう変わったのかを知りたいわけですから、基本的には、事前と事後という概念で比較します。出稿前と出稿後の2回、そこで生じた差が広告効果だと考えられます。

しかし、事前調査のタイミングを逸してしまった、あるいは、予算的に2回の調査はできないといった場合でも方法はあります。
「○年○月から○年○月まで、CMが放映されましたがご覧になりましたか?」
「○年○月から○年○月の間にこの商品を購入しましたか?」
といった具合に、アンケートの質問項目によって、仮想的に事前と事後を作り出す方法もあります。

過去について聞くので、回答者の記憶が曖昧になってしまう可能性は否めず、事前と事後の2回調査をするほうが、調査精度は高くなります。
しかし、こうした仮想的に事前事後を設定することで、外部要因を取り除いた調査が可能になるメリットもあります。これについては、後述します。

●競合との比較

事前事後の比較だけでなく、競合との比較も重要です。自社のデータが上がった下がったと一喜一憂しても、競合他社も同じように上がったり下がったりしていれば、それは市場全体の変化、外部要因の影響だと考えるのが自然です。母集団の影響から完全に逃れることはできません。広告認知調査に限らず、調査バイアスを防ぐために絶対値で語らない、比較することが重要です。

●外部要因の把握

調査を行ううえで、もう一つ重要なのが外部要因の把握です。外部要因には「季節効果」「イベント等」「他のメディア要因」があります。

たとえば、夏の時期である7月にアイスクリームの広告を出稿予定で、6月に事前調査、8月に事後調査を行った場合、おそらく「購入した人が増えた」という結果になるでしょう。そのため、調査時期が重要になります。
調査時期を変えられない場合は、こうした季節性が高い商品やサービスの場合は、先ほど説明した仮想的に事前と事後を作り出すアンケート設計で対応する、あるいは前年同月と比較するといった方法をとります。

また、広告を打つのと同時に大規模なイベントを実施したりすると、CMの効果が測りづらくなります。事前に予定されているイベントは調査期間を調整するなどして回避できますが、たとえば、トーク番組で芸能人が商品について話したなど、予測できないイベントもあります。
こうした場合も、イベントを「知っている人」「知らない人」に分けて聞き取っていくことで調査は可能です。しかし、サンプル数が少なく、どこまで分析できるかという課題は残ってしまいます。

他のメディア要因については、広告に接触していない人にも聴取することで対応していきます。たとえば、A新聞に出した広告の効果を測定するとき、他のメディアから情報を得て影響を受けた可能性を排除していくため、次の3パターンの調査を行ったりします。

  • A新聞を読んでいて広告に接触した人の事前・事後
  • A新聞を読んでいて広告に接触していない人の事前・事後
  • A新聞を読んでいない人の事前・事後

A新聞を読んでいない人の事前・事後に変化がなければ、外部的な変化はなかったと判断できますし、もし下がっていたら、外部的に下がる環境があったといえる。仮にその状況でA新聞を読んでいて広告に接触した人の数値が上がっていたら、厳しい環境の中、「広告が歩留まりに寄与した」ということができます。

広告評価で用いる指標

では、アンケートで何を聞いていくかですが、大きくは「広告そのものの評価」「商品やサービスの評価」について質問をしていきます。それぞれ、次のような指標を用いて、アンケート項目を作成していきます。

広告評価で用いる指標は、主に以下の3つに分類されます。

  • 広告認知
  • 広告好感度
  • 広告メッセージ評価

●広告認知

広告そのものの評価は、「広告認知度」「広告到達度」などともいわれますが、まずは、広告がどの程度見られているかを確認します。このとき、「見たことがある」「見たことがない」の二択ではなく、どのくらい「見た」のか、そのレベル感をとることが大切です。そのため「見ていない」「見たような気がする」というレベルから、「確かに見た」など、いくつかの階層に分けて聞いていきます。

●広告好感度

広告好感度や広告メッセージ評価は、広告がどの程度好まれたのか、広告のメッセージがどう受け止められたかです。認知度が高まっても、好きになってもらえなければ、購買行動へと結びつきません。

●広告メッセージ評価

広告のメッセージがちゃんと届いていたのか、FA(フリーアンサー)で広告を見た感想を書いてもらうこともあります。
その他、クリエイティブで商品サービスの魅力がどのくらい伝わったか、購入意向が高まったか。態度変容があったのか。訴求したいメッセージがちゃんと伝わっているか、クリエイティブで言いたかったこと、キーワード、広告で思ってほしいことが、想定した通りに伝わっているか、ということを確認します。

商品やサービスの評価で用いる指標

次に、商品やサービスの評価について説明します。広告の認知と合わせて、商品やサービスの認知が上がったのかを調べていきます。理由としては、広告の認知向上が、必ずしも商品やサービスの認知が上がるというわけではないからです。

商品やサービスの評価で用いる指標は、主に以下の5つに分類されます。

  • ファネル分析
  • 購入意向
  • NPS(ネットプロモータースコア)
  • イメージの変化
  • 属性の変化

●ファネル分析

商品やサービスの評価で用いる指標の一つが、「ファネル指標」です。ファネルとは漏斗(ロウト)のこと。「認知」→「興味・関心」→「比較・検討」→「購入」という生活者の購買プロセスは、漏斗のように先にいくに従い小さくなっていくことから、このように呼ばれています。
ファネル指標の図
たとえば、認知度は高いけれど、購入率が極端に低い場合は上辺が長く傾斜が急な盃のような形になりますし、認知はそれほどでもないけれど、知っている人はほとんど買っているとなれば寸胴な形になります。
ファネル指標の4つのプロセスがそれぞれどの程度まで到達したかを知ることで、購入に至るまでのどこがボトルネックになっているか、課題を発見することができます。

ファネル分析の詳細については、下記コラムをご覧くださいませ。

●購入意向

ファネル指標とセットで聞くのが購入意向です。買いたい/やや買いたい/どちらともいえない/やや買いたくない/買いたくない/の5段階評価で聞いていきます。
分析項目は、時代とともに変わっていくもので、最近では、「知人や友だちにすすめたい」という推奨や「SNSなどで紹介したい」といった共有について調査することもあります。

●NPS(ネットプロモータースコア)

NPSは顧客ロイヤルティを測る際に用いられる指標です。「Net Promoter Score:ネットプロモータースコア」の略で、「友だちにすすめたいかどうか」をゼロから10点の11段階で評価するものです。0~10点の11段階でで回答し、9〜10点と回答した顧客(推奨者)の割合から、0〜6点と回答した顧客(批判者)の割合を差し引いて、スコアを計算します。

この手法は、顧客ロイヤルティを示す指標でもあるため事業の売上成長率との相関性が期待されています。
広告の事前と事後でNPSが上がっていれば、商品やサービスも売れるだろうと予測できるし、他人に共有したい商品やサービスになってきたと判断できます。

NPS_例
0~10点の11段階でで回答し、9〜10点と回答した顧客(推奨者)の割合から、0〜6点と回答した顧客(批判者)の割合を差し引いて、スコアを計算します。

NPSの詳細については、下記コラムをご覧くださいませ。

●イメージの変化

イメージ変化は、「温かみのある」「都会的な」など、情緒的なベネフィットを示す形容詞を並べて選んでもらい、その変化を見ます。商品やサービスによっては、健康や機能についてのキーワードを盛り込むこともあります。
ハーゲンダッツのCMを例にとって考えてみましょう。
現在(2021年6月)、ハーゲンダッツのCMに起用されているのは、佐藤健さんと中条あやみさんという若者に人気の俳優。CMのバリエーションはいくつかありますが、家で一人、ハーゲンダッツを食べるひとときを満喫するという演出が多いようです。
製作サイドが「一人暮らしをする若い世代のプチぜいたく」というメッセージを意図していたと仮定します。そのとき、商品のイメージについて、「ぜいたく」「一人暮らし向け」「ごほうび」「幸せ気分」といった選択肢を入れておき、事後の調査でこれらの項目がどう変化したのかを見ていきます。
属性についても、商品を購入したと回答した人のうち、20代や一人暮らしが上がっていたら、広告は狙いどおりリーチしたと判断できます。

●属性の変化

この指標は、「広告効果測定ならではの指標」というわけではなく、市場調査をする上で基本的な指標になります。性別、年齢、職業、興味・関心、同居人数など回答者の基本的な情報を収集することで、「狙い通りの層にメッセージが届いているのか」「どこの層に受けていて、受けていないのか」などといったように、属性毎に分析することが可能です。

余談ですが、広告効果調査を行ったら想定していなかった層に届いていたということがあります。広告によって新しい市場を開拓したと解釈できますが、これを根拠にブランドの方向性を変えるにはさらなる分析が必要です。「たまたまそうだった」可能性は排除できず、ブランドの軸がズレてしまったら、それまで培ってきたイメージを毀損してしまうリスクがあるからです。

結果の分析と広告の見直しにつなげる方法

広告効果測定を実施する際は、複数媒体でのキャンペーンであることが多いかと思います。小規模な広告施策の場合、広告費用と調査費用の兼ね合いや、リーチした母数の関係で、広告効果を図ることが難しいこともあります。
どうしても効果測定をしたいという場合は、その媒体に触れている人に限定して実施するのが良いでしょう。

広告効果測定が効果を発揮するのは、クリエイティブの方向性を判断する際、メディアミックスの最適化を行う際にです。定期的な広告キャンペーンを打つ際に、広告クリエイティブの方向性をCMのタレント性で訴求すべきか、それともエリアに根付いた内容で訴求すべきか、調査結果から判断することもあります。また、媒体選定について、今までテレビCM一本でやってきたが、デジタル広告(ウェブメディア)を調査したら、デジタルがよかったからそちらの予算を増やした、というような例があります。

おわりに

ここまでご紹介したように、広告効果測定は外部要因を考えうる限り把握したうえで調査設計をし、結果に対して適切な評価指標を用いて分析していきます。コストをかけてメディアに広告を出す以上、出稿する目的や狙いが必ずあるはずです。ネオマーケティングでは、そうしたクライアントの目的や狙いなどをヒアリングしながら、広告効果測定の調査を行ないます。
更に、調査結果からクリエイティブとコピーを企画し、デジタルとリアルの両媒体を活用したメディアミックスも一気通貫でご提案しています。PDCAを回しながら広告施策を行いたい、という方は是非お気軽にお問合せください。

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