海外市場への進出や新商品開発には、現地の市場調査が欠かせません。しかし海外調査は国内調査と比較して費用が高くなることが多く、予算面での課題を抱える企業も多いでしょう。
本記事では、海外調査の費用相場や内訳を詳しく解説するとともに、費用が高くなる原因やその対策についても紹介します。具体的な費用事例や、ネオマーケティングで海外調査を依頼した場合の費用感についても取り上げますので、ぜひ参考にしてください。
海外調査の費用相場
海外調査の費用は、調査の規模や対象となる国・地域、手法 、依頼範囲などさまざまな要素で変わります。一般的な規模であれば、100万〜400万円程度が相場です。小規模な調査であれば、数十万円で済む場合もあります。
費用を抑えるためには、費用の内訳を理解しつつ、不要な工程を削減するなどの工夫が必要です。費用の内訳に関しては、次の項目で詳しく解説します。
海外調査にかかる費用の種類
海外調査にかかる費用は、国内で行う調査に加え、海外調査ならではの費用が発生します。
調査設計費
調査設計費とは、調査の目的に基づいて、全体的なプランニングや設問の設計、対象者の選定を行う際にかかる費用を指します。調査設計は、海外調査の成功を左右する重要なステップであり、多くのリソースを投入することになります。
費用は、一般的には数十万円程度が相場です。簡易なオンラインアンケートであれば数万円程度で済む場合も多いでしょう。対象者の絞り込みや複雑な設計が必要になると、費用が高くなります。
サンプル収集費
サンプル収集費とは、アンケートの回答者やインタビュー対象者を集めるために必要となる費用です。具体的には、対象者の募集やリクルーティング、回答者へのインセンティブ(ギフトカードの配布や抽選への参加権など)です。
サンプル収集費の相場は数十万円程度ですが、調査の規模や対象者の条件次第ではさらに費用がかかる場合もあります。費用を抑えたい場合は、対象者の条件を明確にし、必要最小限の対象者を効率的にリクルーティングするのが重要です。
翻訳およびローカライズ費
翻訳およびローカライズ費は、設問や調査資料を現地の言語に翻訳し、その国での文化や文脈に適した内容にするための費用です。インタビューの際は、現地言語のコミュニケーションに対応するための費用や交通費、対象者のリクルーティング費用なども含まれます。
翻訳およびローカライズ費は、国内調査では発生しない費用であり、海外調査のコストが高くなる原因でもあります。言語にもよりますが 、「日本語→英語」であれば、翻訳単価は数十円程度です。
他の言語の場合は、「日本語→英語→他言語」という翻訳の流れになり、さらに高額になるため注意しましょう。
配布・実施費
配布・実施費は、サンプル収集費と重複する部分もありますが、海外調査を実際に行うために必要な費用です。対象者が実際に使用する商品がある場合、その調達・輸送費も発生します。
商品の輸送が困難な場合やリスクが高い場合は、現地での調達が必要となり、その費用が別途加算されることがあります。費用相場に関してはケースバイケースで、数万円〜数十万円程度です。
分析費
分析費とは、収集したデータを統計的手法や専門的な分析を用いて解釈しつつ、調査結果としてまとめるために必要な費用です。調査データは、そのままでは単なる数値の集合であり、意思決定に役立てるために分析が必要になります。
高度な分析や専門的なレポート作成を外部に委託する場合、費用が高額になるケースがあります。費用相場は、数十万円から100万円程度です。自社で対応可能な作業を切り分けつつ、部分的に外注することで、全体のコストを効率的に管理する方法もあります。
調査規模が大きく自社では対応できない場合や、専門的な知見が必要な場合は、基本的に調査の一部または全体を外部に委託します。
調査をすべて外注する場合は、調査設計、データ収集、対象者のリクルーティング、調査の実施、データ分析、レポート作成など上記の費用を含んで計算され、高額になるため注意しましょう。
海外調査で費用が高くなる原因
海外調査で費用が高くなる原因は、主に調査対象とのコミュニケーションを円滑にし、スムーズにデータ収集を行うためのコストに起因しています。
翻訳・ローカライズが必須
海外調査で費用が高くなる主な原因は、翻訳・ローカライズが必須になることです。海外調査では、単なる翻訳だけではなく、文化的背景や慣習を考慮して内容を適応させる「ローカライズ」が欠かせません。
とくにアジア地域においては、言語的な多様性が費用を押し上げる要因となります。たとえばインドのような英語圏では翻訳の手間をある程度省けますが、中国や韓国、東南アジア諸国などでは、言語ごとに翻訳作業が必要です。
現地調査の費用が高い
現地調査の費用が高いのも、海外調査で費用が高くなる原因です。対面調査やオフライン調査では、現地のリソースを活用するため、追加費用が発生します。また、調査を監督するために担当者が現地に赴く場合、渡航や滞在に関連する費用も必要です。
海外調査では、為替レートの影響も無視できません。物価が高い地域で調査を行う場合は、上記の費用がさらに増える可能性があります。
外注費が高い
海外調査は、国内調査と比較して特有の課題が多く、外注費が高くなりやすいという事情もあります。回答の質を担保するためには、ローカライズや適切なリクルーティングなどが必要であり、それに見合ったコストが発生します。
ただし外注の範囲や依頼内容を精査し、自社で対応できる部分を増やすことで、コストの最適化が可能です。複数の調査会社から見積もりを取得し、コストとサービス内容を比較検討するのも良いでしょう。
海外調査の費用を抑える方法
費用を抑える方法はいくつかありますが、基本的には「調査の範囲を明確化する」「質問を簡素化する」の2つに大別されます。
調査の範囲を明確化する
海外調査の費用を抑えるためには、調査の目的や範囲を明確にし、必要最低限に絞ることが重要です。不必要な質問や範囲を削減でき、調査設計の効率化につながります。
全世界を対象とするのではなく、最も重要なターゲット市場にフォーカスします。対象者層を限定し、特定の地域や属性に絞れば、効果的なデータ収集が可能です。
質問を簡素化する
質問を簡潔にするのも重要なポイントです。国内調査は質問文が長く、複雑になりやすい傾向があります。それをそのまま当てはめてしまうと、質問の意図が理解されず、十分なサンプルが集まらないかもしれません。
設計時にはなるべく質問数を減らし、データ収集と分析にかかるコストを削減しましょう。質問が簡素化されていることで、翻訳・ローカライズも簡単になります。
ネオマーケティングで海外調査を依頼した場合の費用
ネオマーケティングの海外調査は、アジア最大級のパネルネットワークをもつパートナーと提携しており、50を超える国での調査ができます。
たとえば日本と中国の20歳以上の(その他条件あり)を対象に、合計500サンプル、本調査 15問程度の調査を実施した場合、調査費用は70万円程度です。サンプル数や設問数、調査対象国が増えると、費用もその分増加します。
台湾・シンガポール・香港の計3カ国が対象で、合計450サンプル、本調査44問の場合の調査費用は160万円程度です。
まとめ
海外調査は、現地市場や消費者の実態を把握するために必要不可欠ですが、国内調査に比べて費用が高額になる傾向があります。翻訳・ローカライズや現地での調査コスト、外注費などが主な要因です。
一方で、調査の範囲を明確にし、質問を簡素化するなどの工夫をすることで、費用を抑えられます。ネオマーケティングをはじめとする信頼できる調査会社を選び、自社のニーズに合ったサービスを活用し、コスト効率の良い海外調査を実現しましょう。