Webアンケート(ネットリサーチ)を実施する際、回答率の高さが調査結果の信頼性や有効性を大きく左右します。回答者が少なければ、データに偏りが生じたり、調査目的を果たせなかったりする可能性があります。当然、意思決定にも影響を及ぼすでしょう。
今回は回答率が重要な理由と、回答率を高めるための具体的なポイントをわかりやすくまとめました。Webアンケートをより効果的に活用したい方はぜひ参考にしてください。
Webアンケートの回答率とは
Webアンケートの回答率は、有効回答数をアンケートの配信数で割り、100をかけた数値です。以下、Webアンケートの回答率の定義(計算式)と、回答率の目安を解説します。
回答率の定義
回答率は以下の計算で算出できます。
回答率(%) = (有効回答数 ÷ 配信数)× 100
Webアンケートの回答率を理解するうえで重要なのは、「有効回答数」です。有効回答数とは、回答がすべて完了し、調査目的に対して有用と判断される回答数を指します。途中で離脱した回答や、不適切と判断された回答は除外されます。
Webアンケートの回答率の目安
Webアンケートの回答率の目安は、方法や規模によっても異なりますが、一般的には10%〜30%程度です。
「令和5年度 内閣府調査研究 世論調査における郵送回答及びインターネット回答の分析業務」によれば、「令和3年度 農山漁村に関する世論調査」におけるインターネット回答の回収率は16.5%です。
参考:世論調査における郵送回答及び インターネット回答の分析業務 報告書内
「令和3年度 農山漁村に関する世論調査 」
https://survey.gov-online.go.jp/sonota/r05-mail_internet/pdf/Report_R5.pdf
Webアンケートを実施する場合は、可能であれば30%を目標にしましょう。
Webアンケートの回答率が重要な理由
Webアンケートの回答率が重要な理由は、「調査結果の信頼性を確保するため」「調査の効率性を高めるため」の2点です。
調査結果の信頼性を確保するため
Webアンケートの回答率が重要なのは、調査結果の信頼性を確保するためです。回答者が少ないと、データにばらつきが生じやすくなり、統計的な信頼性が低下します。調査結果が母集団(調査対象全体)を正確に反映していない可能性が高まり、意思決定にも影響を及ぼすでしょう。
データの信頼性を高めるためには、一定以上の回答率が必要です。前述のとおり、回答率30%を1つの基準にするとよいでしょう。
調査の効率性を高めるため
Webアンケートの回答率は、調査の効率性にも大きく関わる指標です。
確かにWebアンケートは低コストかつスムーズに進められる調査手法ですが、回答率が低いと、追加の配信が必要になります。また、ターゲットをうまくカバーできていない場合は、対象の拡大を行うこともあるでしょう。
たとえば目標とする有効回答数を1,000件とする場合、回答率が10%なら1万人に配信が必要です。しかし回答率が20%に上がれば、母数は半分で済みます。
Webアンケートの回答率に影響を与える要因
下記の3点が、Webアンケートの回答率に影響を与える要因となります。
ターゲットの特性
ターゲットの特性(年齢層や地域、性別など)は、Webアンケートの回答率に大きな影響を与える要素です。たとえば高齢者層はデジタル機器の利用率が低く、Webアンケートの回答率が低くなるケースがあります。
実際、「令和3年度 農山漁村に関する世論調査」のインターネット回答の回収率は、以下のようになっています。
●18〜19歳:20.7%
●20〜29歳:27.3%
●30〜39歳:25.6%
●40〜49歳:22.3%
●50〜59歳:19.5%
●60〜69歳:13.2%
●70歳〜:3.8%
参考:世論調査における郵送回答及び インターネット回答の分析業務 報告書内
「令和3年度 農山漁村に関する世論調査 」
https://survey.gov-online.go.jp/sonota/r05-mail_internet/pdf/Report_R5.pdf
アンケートの設計
Webアンケートの設計も、回答率に影響します。設問が多すぎる場合や、回答に時間がかかる場合は、途中離脱が増え回答率が低下する傾向にあります。また質問が難解だったり、専門用語が多かったりする場合も、回答者が離脱する原因になるため注意が必要です。
もちろんWebアンケートの種類はさまざまで、詳細に調査したいケースもあるでしょう。しかしいずれの分野でも、シンプルな設計を優先するのが重要です。
インセンティブの有無
Webアンケートの回答率は、インセンティブの有無で変わります。インセンティブとは、Webアンケートに協力してもらうために、回答者に対して渡される報酬や特典です。ポイントやクーポン、ギフトカードなどが該当します。
インセンティブは、基本的に回答率向上に直結しやすいため、リソースに余裕があれば準備をするのがおすすめです。インセンティブを用意している場合でも、その内容によって回答率が異なる可能性もあります。
回答率が下がってしまう理由
アンケートの内容に対する関心の低さ
Webアンケートの回答率が下がってしまう理由として、「そもそも回答者がアンケートの内容に興味を持っていない」といったケースが考えられます。とくに不特定多数に配信した場合、回答率が低下するのが一般的です。
こうしたミスマッチを防ぐためには、対象を絞り込み、興味関心が高い層に向けてアンケートを配信するのが重要です。
設問数の多さ・アンケートの複雑さ
設問数の多さやアンケートの複雑さも、Webアンケートの回答率が下がってしまう理由です。設問が多いと回答者が途中で疲れたり、時間がかかると感じたりして離脱します。
アンケートの複雑さも、途中離脱に影響を与えます。「回答時間の目安が明示されておらず、途中で設問数が多いことに気付いてやめてしまう」というのはよくあるケースです。
調査元の信頼性の低さ
調査元の信頼性の低さも、Webアンケートの回答率が低下する原因です。調査を実施している会社や団体がターゲットに知られていない場合、スパムや詐欺ではないかと疑われます。
たとえば知名度の低い企業から突然アンケート依頼のメールが来ても、普通の人はスルーしてしまいがちです。もしアンケートに参加してもらえたとしても、いい加減な回答をする可能性もあります。
アンケート依頼時に、調査を実施している企業や団体名を明記するなどして、信頼性を担保する必要があります。
上記3点を意識し、回答率が著しく下がらないよう注意しましょう。
Webアンケートの回答率を高めるためには
また回答率を高めるためには、以下の3点が重要です。
ターゲットの選定やアンケート設計を適切に行う
Webアンケートの回答率を高めたい場合は、ターゲットの選定やアンケート設計を適切に行いましょう。アンケートの設計は、専門的な知識がなくても自社で対応しやすい部分がいくつかあります。
たとえば、テーマに関心の高いターゲット層を明確化することで、回答率を高められます。「設問数を10問以内」「回答時間を5〜10分以内」など、シンプルで回答しやすい設計を意識するのも重要です。
魅力的なインセンティブを用意する
魅力的なインセンティブを用意するのも、Webアンケートの回答率を高めるためのポイントです。アンケートを案内する際は、ポイントやギフト券、クーポン、抽選での商品など、回答者にとって明確なメリットを提示します。
インセンティブの選び方は、「ターゲットとの相性」です。たとえばポイントは、一定数貯まると現金や商品に交換できる形式です。長期間にわたる調査でリピーターを増やしたい場合や、ポイントサイトを利用している人が対象の場合などに適しています
調査会社に依頼する
Webアンケートの回答率をより高めるには、調査会社に依頼するのがおすすめです。調査会社は多くの調査実績を持ち、適切な設問設計に長けています。調査票の設計やアンケート配信、データ収集、集計・分析まで一貫して任せられるため、社内の手間を大幅に削減できるのが大きな利点です。
調査票の内容確認やモニターの質を管理する仕組みも整っており、回答率だけでなく、得られるデータの信頼性も高くなります。
ネオマーケティングのWebアンケート(ネットリサーチ)について
ネオマーケティングのWebアンケート(ネットリサーチ)は、合計約2889万人のアンケートモニターを使って実施します。パネルに回答してもらうため、自社で実施する場合と異なり、回答率を気にする必要はありません。
また調査の実施だけでなく、結果を活かしたマーケティング施策の立案や実行まで一気通貫で行えます。回答の収集・分析後にも、クライアント様と伴走して参りますので、ぜひお問い合わせください。
まとめ
Webアンケートの回答率を向上させるためには、アンケートの目的を明確にし、質問を簡潔に設計するのが重要です。また、インセンティブを用意するなど、回答者にとってのメリットを提示できると効果的です。今回紹介したポイントを実践することで、より多くの回答を得られるアンケートを作成し、質の高いデータ収集ができます。自社で対応するのが難しい場合は、調査会社への依頼をするのもよいでしょう。