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アーリーアダプターとは?キャズムについても解説-ネオマーケティング-

ライター:株式会社ネオマーケティング

公開日:2022年03月09日 | 更新日:2024年10月09日

カテゴリー:
目次

アーリーアダプターは、マーケティングにおいて「初期採用者」を表す言葉です。
プロダクトやサービスの普及に、大きな影響を与えると考えられています。

本記事では、
• アーリーアダプターについて
• イノベーター理論における5つの階層
• キャズム(溝)を越えるための3つのポイント
についてご紹介します。

アーリーアダプターとは普及のカギとなる初期採用層

アーリーアダプターは、新しい製品・サービス・ライフスタイルを早い段階で取り込む層のことを指します。
発表から50年以上経つ理論ですが、現在のマーケティングでも広く参考にされています。
日本語では初期採用者、早期採用者などとも言われ、流行に敏感で能動的に情報収集する人たちを意味します。
アーリーアダプターはイノベーター理論で5つに分けられるグループの2番目で、他の消費者に影響を与え新しいアイディアが普及するかを左右する層です。

• 情報収集することが好き
• 流行や新しいモノに対して敏感
• コミュニティへの影響力が高い
• オリジナリティを大切にしている
といった特徴を持つと考えられています。

オピニオンリーダーと呼ばれることもあり、オンラインマーケティングではもはや当たり前となったインフルエンサーマーケティングとも通じる部分がありますね。
イノベーター理論と5つのグループについては、次項から詳しくご説明します。

イノベーター理論の5つの階層

イノベーター理論は、アメリカ・スタンフォード大学のコミュニケーション学・社会学者であるエベレット・ロジャースが「Diffusion of Innovations(イノベーション普及学)」で1962年に発表しました。
イノベーター理論は普及学とも呼ばれ、新しい製品やアイディアが普及するかが分かれる理由や、どのような段階を経て普及するかを示しています。人々に受け入れられるアイディアは、以下のイノベーション要件が必要とされます。

1.比較優位
既存の製品・サービスと比較した時にある優位性のことを指します。例えば、スマホはパソコンと比べて持ち運びやすさや連絡のしやすさ、使い勝手などの面で優位と言えます。

2.適合性
ライフスタイルに適合しているかどうかという点。新しくて性能が良いアイディアだとしても、生活スタイルが導入以前と変わらざるを得ないと受け入れられにくいそうです。

3.分かりやすさ
消費者が理解しやすい、使い勝手がよいものかどうかというポイントです。新しい料理があるとして、一般的な調理器具で作れたり、ミールキットで簡単に調理できると消費者は複雑性を感じにくく分かりやすいアイディアだと言えます。

4.試用可能性(または試行可能性)
試しに体験できるかどうかという点です。体験型イベントの開催、店舗での実機試用、サンプル配布などがこれに当たります。

5.可視性(または可観測性)新しい製品やサービスを導入したことが他の人から見えることを指します。
他の人の目に新しいアイディアが触れることで、コミュニケーションが生まれその製品やサービスに対する興味を促して普及に繋がるという考えです。

近年はSNSがこの役割を果たしている事は、もはや言うまでもないでしょう。

これらの要件を満たした新しいアイディアに対する受け入れが早い順に5つのグループに分け、それぞれの層の特徴や普及への道程を示しています。

以下では、イノベーター理論で分類される5つの層をそれぞれご紹介しています。
ロジャース氏はカテゴリごとに教育水準や経済状況も定義していますが、今日の価値観にはそぐわない部分もあります。現代の我々がイノベーター理論を参考にする際、情報へのアクセスが容易な現代では教養や経済状況、社会階級に関わらず、情報収集能力や新しい存在への受容は個人の意思によるところも大きくなっていることを意識する必要があるでしょう。

イノベーター(革新層)

イノベーターは全体の2.5%ほどと5グループ中最も少ない層ですが、一番最初に新しいアイデアを取り入れるグループです。

冒険心や知的好奇心が強く、自分とは違う分野にいる人との交流を盛んに行います。
新しい挑戦が失敗したとしてもさほど気にならないという特性から、ロジャース氏は比較的年齢層が若く経済的余裕があるとしています。
社会的階級が高く科学的情報源とも親しいことから、普及しなかったとしても許容する傾向があるようです。

アーリーアダプター(初期採用者) 

全体の13.5%を占めるアーリーアダプターは先ほどもご紹介した通り、早い段階で新しいアイディアを採用する層です。5つのグループの中で周囲への影響力が1番高いオピニオンリーダーとされます。

イノベーターと同じく年齢層は高く経済的にも恵まれていますが、より慎重に選択を行い、仲間意識の強い層です。
• リスクマネジメントに優れている
• グループやチーム単位でコミュニケーションし、アイディアを共有する
• 一般的な価値観を持っている
• コミュニティの中で目立つ存在である
ということから、マーケティングにおいてアーリーアダプターの存在は重視されることが多いです。

アーリーマジョリティ(前期追随者)

アーリーマジョリティはマジョリティ(多数派)の中でも、比較的早い段階で新しいアイディアを受け入れる層です。
全体の34%を占め新しいアイディアについては好意的ではあるものの、すぐに取り入れずに実際試用した人の評価なども判断材料とします。

社会的階級は平均的でアーリーアダプターとも交流を持つとされ、アーリーマジョリティに普及するとその勢いはゆるやかに変わります。


レイトマジョリティ(後期追随者)

レイトマジョリティはアーリーマジョリティと同じく全体の34%。
同じマジョリティの中でも、新しいアイディアや流行に対して抵抗感がある層です。

社会階級は平均より低めとされ、経済的・実用的な理由があれば新しい製品・サービスを取り入れるという傾向があります。

ラガード(遅滞層) 

ラガードはもっとも保守的な層で、全体の16.0%ほどいるとされます。
年齢層は高く伝統を重んじ、クローズドなコミュニケーションを好むとされ、新しい物や流行による変化を拒否します。
失敗のリスクがないと確認してからでないとアイディアを採用しない慎重派で、中には最後まで取り入れない人も存在します。

キャズムを越えるための3つのポイント

キャズムとは新しいアイディアが普及できずに溝(キャズム)に落ちるという意味の用語で、アメリカの組織理論家・経営コンサルタント・作家であるジェフリー・A・ムーアが1991年に提唱しました。

アーリーアダプターとイノベーターを合わせた16%の層に受け入れられれば、その製品やサービスは普及するという「普及率16%の倫理」がイノベーター理論での定石でした。

このように、マジョリティではなくともその存在が無視できないグループや層をクリティカル・マスと呼びます。
しかし、実際にはアーリーアダプターに受け入れられたアイディアであっても、成長期における制約や条件に合わずに衰退していくケースも少なくありません。

特に技術や価値観の入れ替われの激しい現代では、このキャズムどう乗り越えるかが鍵となります。

マス層へのアピール

キャズムを乗り越え、アーリーマジョリティまでシェアを広げるためにはマス層に広く存在をアピールする必要があります。

イノベーター理論の5つのグループのうち、イノベーターとアーリーアダプターが「新しさ・革新性」を求め、残りの84%が「具体性・安全性」を重視すると考えられています。

アーリーマジョリティに響かせるためには、
• 実績(売上・メディア実績・賞など)を提示
• 数字(売上・評価・実験データなど)を強調
• リスクを抑える
ことが重要です。

個人ではなく組織にプロモーションする

先ほどマス層に広くアピールすことが普及に繋がる、とご説明しましたが、小さな組織やコミュニティにターゲットを絞るという方法もあります。

具体的には有名インフルエンサーだけではなくマイクロインフルエンサー/ナノインフルエンサーを活用して訴求したり、新製品を企業に設置(またはプレゼント)して組織内のUXを高めたりといった手法です。

複数の小さな拡散を繰り返すことを「スピルオーバー効果(拡散効果)」と言い、成功すれば指数関数的に急速に普及が進むことも十分考えられます。

導入リスクを減らす

消費者のほとんどが新しいサービスだからといって試すことは無く、メリットや安全性を求めます。
アーリーマジョリティにアプローチするためには、「損をしない」という点を強調する手法が一般的に多く用いられています。

例えば、「初回90%オフ」「2週間以内の返品無料」といったキャンペーンですね。
ツールやアプリの場合は、ある程度実績を積んでブラッシュアップしてからマス向けの広告を打つという方法も取られます。

まとめ

アーリーアダプターは新製品や新しいサービス普及の鍵を握る層で、マーケティング戦略で重要視されていることが分かりました。
とはいえ、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間にはキャズム(溝)があることも忘れてはいけません。
製品やサービスの成長段階に応じたマーケティング戦略と計画を作成し、スピーディーに施策を打ちだして自社製品のシェアを伸ばしていきましょう。

 

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