エリアマーケティングに使える!国勢調査データの活用方法
ライター:株式会社ネオマーケティング
公開日:2019年04月02日
| 更新日:2024年10月22日
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マーケティングリサーチ
国が5年に一度実施する「国勢調査」。日本に住むすべての人・世帯を対象に行なう統計調査で、行政上の施策や学術研究などへ主に利用されている、誰でも利用できる調査です。しかし一般公開されているとはいえ、通常のマーケティングリサーチのデータと異なることもあり、活用している企業は少ないのではないでしょうか?
今回は、長年商圏調査やエリアマーケティングに携わってきた弊社のリサーチャーが、国勢調査のデータを活用して、ある特定地域の居住者についてわかりやすく理解する方法を説明します。
その地域を簡単に分類し理解するデータ
~地域の住民を知るために~
私はこれまでショッピングセンター、不動産、レジャー施設などの立地の仕事に携わり、広告のプレゼン資料やその作成のためのマーケティングデータを整理する仕事に関わってきました。
立地・商圏分析の際は、基本指標である一定の距離圏(またはハフモデルで設定)の人口、世帯、年代、世帯人員、住居形態などの基本指標の数値(マーケットのボリュームとその質)を当然見ることになります。近年は人口減少社会になり、将来人口はとても重要な指標になっています。
これらの基本指標に加えて、居住者の特徴を理解する、その地域に住む人をうまくイメージできるようなデータが求められます。年代などのハード的なものでなく、どのような人(タイプ)が住んでいるのか……? 現地を観察することで解決することもできますが、その際手っ取り早く利用しているデータが「国勢調査の就業者の職業」のデータです。
「国勢調査の職業分類」は、その地域の居住者を知るのにとても便利!!
国勢調査の「職業」とは、「就業者について、国勢調査の調査週間中、その人が実際に従事していた仕事の種類によって分類したもの」をいいます。※「国勢調査の結果で用いる用語の解説」より)
具体的な大分類の職業は、以下です。
〇管理的職業従事者 〇専門的・技術的職業従事者 〇事務従事者 〇販売従事者 〇サービス職業従事者 〇保安職業従事者 〇農林漁業従事者 〇生産工程従事者 〇輸送・機械運転従事者 〇建設・採掘従事者 〇運搬・清掃・包装等従事者 〇分類不能の職業
これらのデータを更に大まかに3つに分類して、その地域を見るようにしています。
①管理的職業従事者、専門的・技術的職業従事者、事務従事者(所謂ホワイトカラーにあたる層)
②販売従事者、サービス職業従事者、保安職業従事者
③農林漁業従事者、生産工程従事者、輸送・機械運転従事者、建設・採掘従事者、運搬・清掃・包装等従事者(所謂ブルカラーにあたる層)※分類不能の職業
職業分類や分類方法について「ちょっと古いなぁ」と思う方もいらっしゃると思いますが、このように分類することで地域を理解する際に簡単で、とても見やすいデータになると思っています。
このデータの中で「管理的職業、専門的職業・技術的職業、事務」の合計構成比を見ることにより、その地域の居住者の雰囲気を大枠で事前に理解できます。このデータは、これまでの経験から居住者の年収やライフスタイルをこの一つの指標で示唆してくれます。
なお、1都3県の251市区町村でこの数値(管理的、専門的・技術的、事務、所謂ホワイトカラー層の割合)をランキングで見たのが次の表です。データは2015年の国勢調査を利用しています(上位30市区町村)。
ホワイトカラーの比率は、「文京区」が1位、次いで「武蔵野市」「習志野市」
1都3県251市区町村の中で、最もこの数値が高いのは、「文京区」です。次いで「武蔵野市」「習志野市」「千代田区」「横浜市青葉区」の順になっています。個人的に「習志野市」の数値が高いのが意外でした。
居住先の街として人気のある市区町村が並んでいることがわかります。今回は市区町村単位で見ていますが、立地分析の場合は、当然これを施設の大小に合わせて大字単位やメッシュ統計で細かくみることになります。基本的に郊外店舗や施設の場合、周辺住民がその店舗や施設を利用することになるため、大まかにこの指標をみることで周辺住民の雰囲気がわかり、店や施設の在り方やコミュニケーションの方向性を示唆してくれます。
公的機関のデータは、インターネットで気軽に入手可能です。ご興味のある方は、店舗や施設等の周辺をデータで確認して見てみてください。国勢調査のホームページからは今回使用したデータをはじめ、様々なデータを簡単に入手することができます。
マーケティングソリューションディビジョン所属 田島 t-tajima@neo-m.jp
参考
管理的職業従事者、専門的・技術的職業従事者、事務従事者の合計構成比をマップ化したものです。参考にご覧ください。赤色に近いほど、ホワイトカラーと呼ばれる職種の人の割合が高いことを示しています。
※マップマーケティング㈱ TerraMapで作成
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