まず社内連携で重要なことは、部門を横断して共有できる数値目標です。目標設定は、経営指標と連動していることが大事です。たとえばリード獲得数を目標に設定することがよくありますが、セールス部門の目標とつなげると「新規顧客獲得数」がより重要な指標となるはずです。これは経営層への説得においても同様で、経営計画と連動していない目標は理解されず、支援を得られにくいことになります。
マーケティング部門がリード獲得から新規顧客獲得までの数値プロセスを示した上で、各部門のメリットを説明すれば協力を求めやすいでしょう。各部門のメリットとして、セールス部門では新規顧客獲得による売上アップ、サービス部門では新規ユーザからの感想ヒアリングによるサービス品質の検証ができることなどが挙げられます。
2.組織づくり
組織づくりはマーケティングの費用対効果高める上で非常に重要です。新規顧客獲得率を上げようとすると、部門を越えて経営層やセールス部門に働きかけてチームをつくることになります。
新規顧客からの受注は、既存顧客からの受注に比べて5倍コストがかかるといわれており、新規顧客と既存顧客からの売上目標が混在したチームに任せた場合は、自然と既存顧客の育成に傾いてしまうため、新規顧客と既存顧客は役割と目標を切り分けたチームである必要があるのです。また経営層や営業チームに対して、既存顧客に偏るリスクを説明することも大切になります。競合他社への切り替えや予算の都合で継続できないケースなどで年々縮小するという認識を共有して、新規顧客獲得に力をいれていくことに対する合意を取っておくことも大事です。
組織づくりは非常にパワーが必要ですが、マーケティング部門が獲得したリードが正しく有効活用され、評価されるためには欠かせません。
3.PDCA
マーケティングにおいてPDCAを回す際、経営層の合意を得た上で実施しているでしょうか。マーケティング施策の多くは中長期的なもので、経営層が当然重視する費用対効果が低くても、中長期的にPDCAを繰り返すことで費用対効果が高まることがわかれば、経営資本を投下する判断ができます。経営層からの理解を得るために、新規顧客の獲得数から逆算してPDCAで追いかけるKPI(マーケティング部門におけるリード獲得数など)を設定し、社内で説明をしましょう。
4.セールス活動への参画
ここまで説明してきた「目標設定」「組織づくり」「PDCA」を推進するために大きな効果を発揮するのが、マーケティング部門自らセールス活動へ参画する姿勢です。顧客に対する理解、自社の営業プロセスの理解が深ければ、どんなリードがアプローチしやすいのか、商談につながりやすいのか、などを意識しながら施策の取捨選択ができます。
ただし、セールス部門経験者をマーケティング部門に配置するといった人事を動かすことは容易ではないため、最初の一歩として取り組めることがセールスに同行してお客様に会いに行くことです。メリットは2つあります。1つ目は、顧客イメージの解像度が上がり、課題や求める情報をイメージしやすくなることで、コンテンツ制作やリード顧客獲得方法の改善を図れます。2つ目は他部門に本気度と姿勢が伝わることです。人は理屈や一般論だけでは納得できないこともあり、マーケティング部門が現場に出て行くという姿勢によって、驚くほど他部門と連携しやすくなった事例は多いです。コミュニケーションが密になれば、新たなアイデアや共同施策につながるかもしれません。
5.継続的な社内発信
マーケティング部門の活動は社内でもわかりにくいとされるため、社内で発信することと、その「頻度」も重視しましょう。どんな媒体で発信するかという方法論ではなく、ささいなことでも毎日発信して、全社員にマーケティング部門の活動が浸透することが重要です。たとえば、イベントの出店、ウェビナーの開催、コンテンツのリリース、記事の掲載などです。地味で地道な活動ですが、他部門から何をやっているかをキャッチアップしてもらうことで、社内連携がしやすくなります。