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適正価格を算出する分析「CVM分析とPSM分析の使い分け」および「CVM分析の課題と改善策」についての提言

ライター:株式会社ネオマーケティング

公開日:2021年03月23日 | 更新日:2024年08月01日

カテゴリー:
目次

生活者起点のリサーチ&マーケティング支援を行なう株式会社ネオマーケティング(所在地:東京都渋谷区)では、今の時代に即したマーケティングリサーチのあり方を検討するべく研究チーム「NEO Research Lab」を立ち上げ、独自で調査を行なっております。
今回は、プロジェクト第3弾の調査として前回取り上げた「商品・サービスの適正価格を把握する調査手法」の続編です。前回の結果から「PSM分析とCVM分析の使い分け」について記述し、「CVMに対する課題と改善策」について弊社視点で考察しています。

 

<調査背景>
前回の調査では、価格の受容性をはかるうえで代表的なCVM分析とPSM分析の結果の差異を確認したうえで、2つの手法のメリット・デメリットを整理し、結果の解釈についての提言を行ないました。今回は、その結果を踏まえたうえで、価格の受容性をはかる際にはどの手法を選択すればよいか、またCVM分析をより有効なものとするための2つの方法を紹介しています。

<調査概要>
本リリースは、プロジェクト第3弾として前回取り上げた「商品・サービスの適正価格を把握する調査手法」で行なった調査に基づいています。
1.調査の方法:株式会社ネオマーケティングが運営するアンケートサイト「アイリサーチ」のシステムを利用したWEBアンケート方式で実施
2.調査の対象:アイリサーチ登録モニターのうち、全国の20歳以上の男女を対象に実施
3.有効回答数:1500名
4.調査実施日:2021年1月21日(木)~2021年1月28日(木)
5. 調査内容:架空の商品「完全栄養パン」のコンセプトを提示し、その価格受容性をはかる調査を実施。1500名の対象者をランダムにA~G群に分け、群ごとに質問の仕方を変えて、CVM分析・PSM分析・通常の価格設問、それぞれで導いた結果を分析、比較した。
6. 調査結果の見方
・nは回答者数を表している。
・回答率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを表示している。
 このため、合計数値は必ずしも100%とはならない場合がある。
・設問の回答には、単一回答と複数回答がある。
 複数回答の設問は、回答率(%)の合計が100%を超える場合がある。
・nが30未満の数値は参考値とする。
・分析ツール:栗山浩一「ExcelでできるCVM Version4.0」を活用
http://kurikuri.cocolog-nifty.com/kurikuri/

調査データのダウンロードはこちら

前回調査のまとめ

 

プロジェクト第3弾の「商品・サービスの適正価格を把握する調査手法」の結果を改めてまとめます。

■調査内容
仮想の商品「完全栄養パン」を説明した同一のコンセプト案を呈示し、CVM分析、PSM分析、一般的な価格受容性をはかる手法を用いて結果を比較分析しました。

■調査結果まとめ
・CVM:「\200」の購入意向率は54.8%と約半数
・PSM:適正価格帯「¥205~¥208」
・(参考) 一般的な価格受容性をはかる手法:「\200」では受容率60.2%で半数を超える

■CVM分析結果
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■PSM分析結果

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■(参考) 一般的な価格受容性をはかる手法の分析結果

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■CVM分析とPSM分析のメリット・デメリット

【CVM分析】
●メリット
・“200円は54.8%、300円は39.5%の購入意向率”といった細かな価格シミュレーションができる
・実現不可能であるという結果にはなりづらい
・受容率が分かる

●デメリット
・あらかじめ呈示する価格帯を決める必要がある
・あらかじめ調査実施者側で設定するため、回答者視点ではない適正価格が算出される
・PSM分析のような価格幅が分からない
・サンプリング・設問設計がシンプル、且つ、設問数を抑えられない

【PSM分析】
●メリット
・回答者が数値入力するため、回答者視点での適正価格が算出される
・サンプリング・設問設計がシンプル、且つ、設問数を抑えられる

●デメリット
・顧客視点のため、実現不可能、または、解釈不能といった結果になることもある
・“200円は54.8%、300円は39.5%の購入意向率”といった細かな価格シミュレーションができない
・受容率を求める手法ではない

前回調査の詳細は、「商品・サービスの適正価格を把握する調査手法」からご覧ください。

CVMとPSMの使い分け

 

前回の調査結果から、PSM分析の受容価格帯が半数以上に受容されていると仮定すると、CVM分析とPSM分析に差異は小さく、どちらの分析も誤りであると言い切れません。
CVM分析かPSM分析を選択する際には、以下の数表に照らし合わせて検討すると良いと考えます。

 

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価格イメージのある商材:
日用品など消費者が価格帯をイメージしやすいものに適しています。
そのため、自由回答(FA)で価格を数字入力させることも可能で「PSM分析」「一般的な手法」ともに対応できます。また、価格提示して調査するCVM分析でも対応可能です。

価格イメージのない商材:
新規商材など消費者が価格帯をイメージしづらい商材にも適しています。もちろん、価格イメージのある商材でも分析は行えます。
価格イメージのない商材は、イメージがないため、自由回答(FA)で入力させることに適していません。そのため、「PSM分析」「一般的な手法」に比べ、「CVM分析」の方が適しています。
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CVM分析は価格イメージのあるなしに関わらず対応可能のため、一見万能の分析手法のように思えますが、CVM分析には課題があり、万能とは言い切れません。以下にCVM分析が持つ課題と改善策を整理し、それぞれの改善策について説明します。

 

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CVM分析の課題と改善策① ~プライシング手法の導入~

 

CVM分析の「PSM分析のように『適正価格』が結果としてそのまま表れないため、どの価格にすべきかを判断する必要がある」という課題に対して、代表的なプライシング(価格設定)の考え方が活用できます。
プライシング方法は、主に以下の3つです。

 

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低価格設定で導入期から市場への早期普及を図るペネトレーションプライスをとる場合、市場を大きく獲得するため受容率の目安80%以上を目指すとすると、「\80」以下の価格設定が必要になります。
一方で、高価格で商品を市場に導入し、商品の普及とともに価格を下げていくスキミングプライスを取る場合、導入期の受容率の目安20%前後を目指すとすると、「\500」の価格設定となります。
※図表には記載はありませんが、このようにCVMの特徴は価格レンジを細かくしても、受容率が分かる点もメリットです。

しかし、ペネトレーションプライス・スキミングプライスともに、「\80」「\500」が現実的な価格とは言えないため、別途考慮が必要でしょう。例えば今回の場合、受容率を60%以上で半数以上を確保できる「\150~\200」を狙う等が考えられます。なお、受容率を60%以上とした場合は、PSM分析・一般的手法の結果に近しくなります。

コストプラス法であれば、CVM分析による購入意向率をいくつかを確認し、購入意向率から計算した購入見込者数に商品単価を掛けることで売り上げを算出、目標売上を見込めるのであればその価格を採用します。目標売上に満たないのであれば、商品単価を下げて購入者数を増やすことで売上目標を見込めるように価格を設定します。
代表的なプライシングの手法は、CVM分析においても価格設定の補助となりえると考えられます。

CVM分析の課題と改善策② ~プレテストの実施~

 

続いて、CVMの「あらかじめ調査実施者側で価格を決定する必要があり、消費者視点での価格設定とは限らない」という課題に対して、「プレテストの実施」という改善策が考えられます。
以下の2ステップを踏み、プレテストからCVM調査で提示する価格を決めることで、消費者の想定する価格に近い結果を得ることができます。
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【ステップ1】プレテスト
「一般的な手法」または「PSM分析」から、顧客視点での価格レンジを把握する。
 
※CVMは各価格を段階的に聴取するため、価格幅をより明確にできるPSM分析の方がプレテスト
としては望ましいのではないか。

【ステップ2】CVM
プレテストで算出した価格レンジから、「CVM分析」を実施し、適正価格を算出する。
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最後に

 

「PSM分析とCVM分析の使い分け」と「CVMに対する課題と改善策」について、弊社視点で考察しました。
1回分の調査結果のみでナレッジの蓄積が少ないため、汎用化できる考え方ではありませんが、プライシングする際の参考として頂ければ幸いです。特に、CVM分析の課題を補完する考え方はあらゆる調査に応用できると研究チームでは考えています。

 

 


■引用・転載時のクレジット表記のお願い
※本リリースの引用・転載は、必ずクレジットを明記していただきますようお願い申し上げます。
<例>「生活者を中心にしたマーケティング支援事業を提供する株式会社ネオマーケティングが実施した調査結果によると……」

■「ネオマーケティング」
URL:https://neo-m.jp/

ダウンロードしていただくと、リリースデータをPDFでご覧いただけます。

 

株式会社ネオマーケティング
ネオマーケティングはお客様の抱える課題や調査目的、 その背景を充分にヒアリングした上で、 課題解決・目的達成のために、お客様が何を求めているのか ということを常に考え一歩先のご提案をいたします。 目的に応じて複数の調査手法を有機的に組み合わせたリサーチ等、 柔軟にご提案させていただいております。 また年間調査実績は2,500本以上あり経験豊富なスタッフが 企画設計から報告書の作成まで御社のビジネスをバックアップいたします。
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