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板かまぼこの消費実態調査・ブランド調査を支援 客観的データが自信をもったものづくりに

公開日:2025年12月18日

カテゴリー:

株式会社夕月 商品企画開発室 高橋 浩二様
創業: 1951年(設立:1963年)
事業内容:魚肉ねり製品製造業・そうざい製造業
従業員数:130名
課題:
十数年間、板かまぼこおよび「夕月」ブランドに関する調査を実施しておらず、若年層の板かまぼこ離れやブランド浸透度への不安があった。消費実態・認知状況を把握し、自社の“現在地”を可視化する必要があった。
導入サービス:
定量調査(ブランド認知・購買実態・消費実態調査)
調査設計・分析・活用提案まで一貫してサポート。
結果:
パッケージ認知度74%など、想定以上の好結果が判明。ブランドの強みや食シーンの多様性が可視化され、商品開発・リニューアルの根拠が明確化。社内の共通理解が進み、新商品の開発や卸・バイヤーとの商談にも活用している。


創業75周年を迎える、板かまぼこの専業メーカー


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板かまぼこ「夕月」を中心に、魚肉ねり製品の製造・販売を行う株式会社夕月様。今回、ネオマーケティングは板かまぼこの消費実態やブランドの認知・購買状況に関するアンケート調査をサポートしました。
若い世代での板かまぼこ離れや「夕月」ブランドの浸透度への不安がある中での調査でしたが、結果は想定外の良い結果に。十数年ぶりの調査で得られた客観的なデータは、守るべきもの/変えていくべきことが明確になり、新商品開発やコミュニケーション施策の方向性を見定める大きな後押しとなりました。


ネオマーケティングとの今回の調査プロジェクトを推進した商品企画開発室の高橋 浩二様に、調査実施に至った背景や結果の活用方法について伺いました。

 

 

 

 

——まずは、株式会社夕月様について教えていただけますか?


弊社は福島県いわき市に本社工場を構える魚肉ねり製品のメーカーで、板かまぼこを主力商品としています。現在の代表取締役の祖父が1951年に創業した、魚の干物加工を行う水産加工会社マルヤス水産が前身で、2026年に創業75周年を迎えます。

かまぼこの製造を始めたのは2代目社長で、「夕月」は板かまぼこの商品名でした。販路拡大とともにこの名が広く浸透したことから、1963年に社名を株式会社夕月へ変更しました。かにかまぼこや揚げかまぼこなどの製造も行っていますが、現在は板かまぼこが圧倒的主力商品となっています。



——高橋様の所属と業務内容を教えてください。


私が所属する商品企画開発室は、新商品の企画開発、マーケティング戦略の立案、試作から商品化までの一連の業務を担当しています。商品開発はマーケティングの一部であり、単にものを作るだけでなく、それを市場へ届けるマーケットインの視点が欠かせません。営業部門と連携しながら、どのように販売していくのか、いかにお客様に手に取っていただくかといった販促面も含めて取り組んでいます。

 

 

——商品開発のすべてを担っているのですね。


顧問という立場で商品企画開発業務をサポートしていますが、私が夕月に入社したのは2025年3月です。
私は食品メーカーで社会人としてのキャリアをスタートし、その後は健康食品関連企業、医薬品メーカーなどで経験を積んできました。一貫して、マーケティングと商品開発に携わってきましたが、自分のビジネスキャリアの最後は「食品」で締めくくりたい思いがありました。ちょうど、夕月がマーケティング領域で陣頭指揮を取れる人材を求めていたことから、参画する運びとなりました。

 

 


ブランド認知や消費実態の調査で自社の「立ち位置」を確認


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——板かまぼこのユーザー調査、「夕月」のブランド調査を実施されました。その背景には、どのような課題感があったのでしょうか。

 

主力商品である板かまぼこや「夕月」ブランドに関する定量・定性的な調査を十数年間行っておらず、板かまぼこの消費者実態も十分に把握できていない状況でした。若い世代の中には、家に包丁やまな板がないという方も珍しくありません。板を外す工程が必要な板かまぼこにどれほどニーズがあるのか、正直なところ懐疑的でした。

また、「夕月」という商品名についても、1972年放送のアニメ番組『赤胴鈴之助』でスポット提供をしていた以外に大きな露出はありません。おそらく商品・ブランドの認知は50代半ば〜60代の世代に限られており、このままでは将来に明るい展望が描けないのではないかと感じていました。
そのため一度しっかりと調査を行い、ブランド認知や購買実態、消費実態を可視化する必要があると考えたのです。


——現在の立ち位置を確認するということですね。

 

「夕月」というブランドや商品が、お客様からどのように見られているのか。どのような位置づけで買われているのか、あるいは買われていないのか。どのように食べられているのか。そこがわからなければ、マーケティングはもちろん、ものづくりそのものができません。
そこでまず、商品が流通している東京近郊の方々を対象に調査を行うことにしました。

 


——調査対象はどのように設定したのでしょうか?

 

商品がカバレッジされているエリアを対象としましたが、地元・福島を含めると、結果がポジティブに偏ってしまう可能性があるので福島はあえて除外しました。一方で笹かまぼこが浸透し、かまぼこに対する親和性が高い宮城を加え、東京・埼玉・神奈川・千葉・茨城・宮城を調査エリアに設定しました。この6エリアにおいて、20歳から65歳の男女を対象にサンプル数450(各エリア75)で調査を実施しました。

 

 

 


想定以上だったパッケージによる認知度の高さ


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——結果についてはいかがでしたか?


いくつか非常に興味深い結果が得られました。
私自身、夕月の板かまぼこのメインターゲットは50代半ば〜60代半ばだと考えており、ユーザーの高齢化とともに市場が縮小していくのではないかと危惧していました。
しかし、調査結果を見てみると、40代の子育て世代の方々から、夕月の板かまぼこは「お手頃で、おいしい」という評価を多くいただいていました。
また、競合他社と比較したブランド認知度調査でも、想定外の嬉しい結果が出ました。他社と比較しても「夕月」ブランドは、パッケージを見た際の認知度が74%と非常に高かったのです。

 


——筆文字の「夕月」のロゴは確かに印象的です。

 

CMによる認知は比較的年齢の高い層に偏りますが、売り場での商品認知については幅広いお客様が「夕月」をしっかり記憶してくださっていたのです。
一方で課題も明らかになりました。商品は評価されていますが、より若い層に向けてブランド認知を高めていく必要があります。「夕月」の象徴でもある独特の筆文字ロゴのパッケージは大切に守りながら、若い世代に伝わる工夫を検討していく必要があると感じています。

 

 

——想定外の結果が多く、発見がありましたね。

 

板かまぼこの食べ方についても質問したところ、こちらも興味深い結果でした。多くの方がそのまま食べていると思っていたのですが、実際には料理の具材として活用している方が33%もいたのです。「うどんのトッピング」が44%と最も多かったのは納得ですが、チャーハンや炒め物、サラダに使う方も少なくありませんでした。また、10%ではありましたが「天ぷらにする」という回答もあり、食べるシーンの多様さに気づかされました。こうした発見は、商品開発のアイデアに大いに活かせるはずです。

 

 


調査データを踏まえて進む商品開発。社内で共通の理解を持てるように


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——調査結果は具体的にどのように活用されていますか? 

 

まだ具体的な定量的成果には表れていませんが、調査結果によって既存商品のリニューアルを含め商品開発が進み、社内コンセンサスが得やすくなりました。


また、「夕月」というブランド・商品がどういう存在なのかを社員が自信を持って語れるようになったのも大きな変化です。これまでは社員それぞれのイメージで語るしかなく、答えにばらつきがありました。しかし、調査に基づく客観的なデータがあることで、今は皆が同じ理解を共有でき、堂々と説明することができます。


また、「どんな方が夕月を購入しているのか」「なぜ夕月を選ぶのか」といったデータは、卸売業者やバイヤーの方との交渉時にも活用でき、商談がよりスムーズに進むようになったとフィードバックを受けました。


——商品開発の進捗はいかがですか?

 

すでに動き始めていて、調査結果をもとに若い世代に向けた新商品の開発を進めており、創業75周年となる2026年の春には店頭に並ぶ予定です。また、時期は未定ですが、既存商品のリニューアルも2026年中に実施するべく準備を進めています。
今回の調査は、私たちの自信を持ったものづくりを後押ししてくれました。改めて、調査の重要性を強く実感しています。


 

ネオマーケティングには各部門にプロフェッショナルがいる


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——ネオマーケティングにご依頼いただいた理由をお聞かせください。

 

以前在籍していた会社でネオマーケティングさんに調査をお願いしたことがあり、その際、仕事の質やスピード感、コストの面で非常に好印象を持っていました。
また、ネオマーケティングさんには仙台に営業所があります。夕月の本拠地である福島の隣ということもあり、「かまぼこ」という商材に対して親近感や理解度が高いのではないかと考えました。実際に仙台の営業所を訪問して拠点長とお話をしてみると、思っていたとおりでした。ネオマーケティングさんなら間違いないと確信し、依頼を決めました。

 


——一緒にプロジェクトを進める中で、ネオマーケティングにはどのような印象を抱きましたか?

 

社名に「マーケティング」を冠しているだけあって、情報や知識、アドバイスが的確で、いわゆる「早い・安い」だけのネット調査会社とはまったく違う存在だと感じました。


調査から何を導き出し、どのような商品をつくり、会社にどのようなベネフィットをもたらすのかという視点で寄り添ってくださり、一緒に考えていただきました。営業・マーケティング調査・サポートと、それぞれの部門にプロフェッショナルが揃っていて、横の連携も取れているため、とてもスムーズに話が進みました。非常に頼りになるパートナーです。

 


——印象的だったエピソードはありますか?

 

調査設計や調査結果分析のミーティングでは、ネオマーケティングさんのリサーチャーの方も同席してくださったのですが、かなりはっきりとしたご指摘をいただきました。正直、当社の経営陣にとっては耳の痛い話もありました。クライアントに遠慮して言葉を濁す会社も多い中、ストレートに言ってくれるのはありがたいことです。
もちろん、私からも納得できない点や疑問に思う点は率直に意見しました。それに対しても調査設計の意図や狙いを丁寧に説明してくれ、非常に良い議論となりました。最終的にはお互いをしっかり理解し合うことができたと感じています。


——改めてネオマーケティングに期待することがあれば教えてください。

 

当社のような規模の企業では、調査にかけられる予算には限りがあります。もっとさまざまな調査を行いたいけれど予算的に難しいのが現実です。難しいことだとは承知していますが、コンパクトな設計でありながら精度を保てる調査方法、コストパフォーマンスの高いマーケティングリサーチ手法の開発・提案を期待しています。

 

 

——また、今後のビジネス領域として期待する点はありますか。

 

ネオマーケティングさんならクライアント同士のビジネスマッチングと、その後のマーケティングサポートを事業として展開できるのではないでしょうか。クライアントが抱える課題を、別のクライアントとの協業で解決できるケースは多くあります。ネオマーケティングさんの高いスキルを考えると、調査だけで終わらせてしまうのはもったいないと感じています。

 

 

 

新商品開発やCIで「夕月」を強くしていく


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——最後に、今後の御社の展望についてお聞かせください。


今回の調査によって、「夕月」という板かまぼこが一定の層からしっかり評価されていることが明らかになりました。しかしそこに甘んじるのではなく、守るべきものは守りながら、変えるべきところは変え、板かまぼこ「夕月」の認知を広げて需要を回復・拡大させていきます。
新たな可能性をもつ板かまぼこの商品開発と市場投入を行い、若い世代を含めた夕月ブランドの認知向上・ブランド力の強化を進め、板かまぼこ周辺の新たなカテゴリーへ参入してビジネス領域を拡大していく。この3ステージを進めていく予定です。


――2026年の創業75周年という点ではいかがですか?


創業75周年に向けて、「夕月」のルーツブランディングにも取り組んでいます。私のような外部から参画した人間だからこそ気づくことはあるもので、会社の歴史を調べるといくつもの発見がありました。「夕月」という名の由来や、創業年・設立年の偶然の一致など、非常に興味深いストーリーが見つかったのです。こうした、ブランドの物語性を活かしてCI(コーポレートアイデンティティ)の再構築も進めていく予定です。
さまざまなアプローチから「夕月」の認知を広げ、売上を伸ばし、会社をさらに成長させていきます。

 

 

 

ネオマーケティング担当者から

今回、夕月様のプロジェクトをご一緒できましたこと、大変嬉しく思っております。 
調査企画の段階から、高橋様をはじめ商品企画開発室の皆さまより前向きなご意見を多数頂戴し、プロジェクトをまさに“共創”できたことが強く印象に残っています。 
今回の調査では、「夕月」ブランドの現在地や強みをデータで明確化でき、その結果が社内での共通認識づくりや商品開発の推進、さらに卸・バイヤー様との商談にもお役立ていただけていると伺い、調査の価値を改めて実感しております。 
ネオマーケティングは、単なる“調査会社”ではなく、データを起点に売れる仕組みづくりまで伴走するパートナーでありたいと考えております。 
今後予定されている新商品開発やリニューアル、そして創業75周年に向けたブランド強化についても、引き続きお力添えできましたら幸いです。 


コンサルタント
R.I

 

 

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株式会社ネオマーケティング
ネオマーケティングはお客様の抱える課題や調査目的、その背景を充分にヒアリングした上で、課題解決・目的達成のために、お客様が何を求めているのかということを常に考え一歩先のご提案をいたします。目的に応じて複数の調査手法を有機的に組み合わせたリサーチ等、柔軟にご提案させていただいております。また年間調査実績は2,500本以上あり経験豊富なスタッフが企画設計から報告書の作成まで御社のビジネスをバックアップいたします。
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