アサヒグループ食品株式会社 コンシューマ事業本部 マーケティング五部 課長補佐 井戸皓大様
設立:2015年7月
事業内容:菓子、健康食品、ベビーフード、介護食品・用品、食品原料などの製造販売
従業員数:約1200名
ベビーからシニアまでお客様の生活に寄り添う商品を
お菓子や健康食品などの開発製造販売を行うアサヒグループ食品様。開発のあらゆるフェーズで調査を実施する同社には、ネオマーケティングも折々でご支援させていただいています。
2018年の発売以来、売上続伸中のプロテインパウダー「ディアナチュラアクティブ」も開発過程でいくつもの調査を経て誕生したといいます。開発担当の井戸皓大様に商品開発における調査の価値を伺いました。
――まずは会社概要から教えていただけますか?
アサヒグループ食品は、2016年1月にアサヒフードアンドヘルスケアと和光堂、天野実業の3社がひとつになってスタートした会社です。お菓子からフリーズドライ食品、サプリメントなどの製造販売を事業としており、ベビーからシニアまで、あらゆるお客様の生活に寄り添う商品をラインナップしています。
――その中で井戸様はどのようなお仕事を担当されているのですか?
健康食品、おもにサプリメントブランド「ディアナチュラ」の商品開発を担当し、広告販促業務も行っています。「ディアナチュラ」のプロテインパウダーシリーズ「ディアナチュラアクティブ」も私が所属するチームが手掛けたものです。
――ご担当された「ディアナチュラアクティブ」についてご紹介いただけますか?
たんぱく質に加え、ビタミンやミネラルなどの成分を配合し、運動後はもちろん、朝食時など栄養バランスサポートとしておすすめのプロテインパウダーです。
かつて、プロテイン=筋肉ムキムキの男性のもの、という印象でした。開発にあたっては、そんなプロテインのイメージを変えていきたいという思いもありました。おかげさまで健康のために日常的にたんぱく質をとるという生活者が増え、女性の方にも支持をいただいています。
――ディアナチュラアクティブの開発でご苦労されたことはありますか。
理想の味や食感を形にするのはやはり簡単ではありません。研究所の方とコミュニケーションを密にとりながら、問題をクリアしていくわけですが、成分の組み合わせのバランスを考え、商品全体として理想のものを作り上げていく難しさは毎回感じます。
「現場」「現物」「現実」の3現主義を支えるのはお客様の声
――商品開発にあたって意識していることを教えてください。
大切にしているのは、「現場」「現物」「現実」の3現主義です。これは会社のモットーでもありますが、私自身、机上の空論に陥ってはいけないと、常に意識しています。
その意味でも、お客様の声が重要なんです。
――開発のあらゆるフェーズで調査を行われているそうですね。
弊社では開発フローの中で調査が必須のものとして組み込まれています。コンセプトを含めた購入意向の調査から、試作品のホームユーステスト、試飲調査など、開発段階ごとに調査を行い、承認を得て開発が進んでいきます。お客様はどう感じているのか、自分たちでは知ることができない生の声をチームとしても重視していますね。
――ディアナチュラアクティブの開発過程で印象に残った調査結果はありましたか?
処方や味、パッケージのデザインなどさまざまな調査を行い、たくさんの発見があったのですが、印象的だったのは乳酸菌に対するニーズの変化です。
開発段階を経て改めて調査をしてみると、開発当時と比べて乳酸菌を求める声が大きくなっていたんです。コロナ禍で健康意識が高まったことが影響しているのだと思いますが、調査結果を受けて、乳酸菌配合を訴求したパッケージに変更しました。商品の価値も時間の経過とともに少しずつ変わっていくのだと、改めて感じましたね。
――それは継続した調査とデータの蓄積があってこその発見ですね。
すでに市場に出ている商品についても、改めて調査して聞いてみると、その都度、発見があるんですよ。
「プロテイン=たんぱく質」といった理解が進み、市場も大きくなっています。たくさんの人に飲んでいただくようになれば、そのぶんいろいろな声が出て、求められる基準も高くなっていく。数年間経って改めて調査を行うと、開発当時にはなかった、感じることのできなかった声を得ることができます。
――時とともに、人の価値観も変わっていくんですね。
我々は気づいてなかったけれど、お客様からすると少し不便に感じていたり、期待にそえていなかったりすることが、調査で見えてきます。
改良につなげれば、商品に磨きをかけることができ、商品の価値をより高めていけるし、より多くのお客様に買ってもらえる。継続的に見ていくことが商品やブランドを育てるという点でも大事だと思っています。
調査を社内向けだけにするのは「もったいない」
――調査を行う際に気をつけていることはありますか?
一つは、私1人だけで調査票を完結させないということです。チームの複数人で確認し、質問の意図が正しく伝わっているか、恣意的になっていないかなど、客観的な目線で調査票や調査設計をチェックしてもらっています。
もう一つは、調査結果をどうアウトプットしていくのかをイメージすることです。どう活用するかを考え、そこから逆算して調査票を作成しています。
――アウトプットまでイメージすることが大切なんですね。
調査結果は開発の参考にするだけでなく、営業向けの資料として使うこともあります。どういう資料だと営業がしやすくなるのかを考え、骨子を作って上司に意見やアドバイスをもらいながら調査票を作っていきます。忙しくて時間が限られるとなかなか難しいのですが、商品ができた“その先”も意識するようにしています。
――調査の先を見越して動く必要があるということですね。
お客様に届けるためには、営業が売りやすいことが大事ですし、バイヤーさんに「この商品を取り扱おう」と思ってもらうことも必要です。
現在ではオンライン商談が増え、データを使って論理的に話をしていく場が増えた。データ分析がしっかりでき、論理的に商品が売れる仕組みや棚効率を提案できる人が得意先に求められていると考えます。その材料の一つとして、調査で得た結果を提供できればと思っています。
――開発のためだけの調査ではない、と。
「売れるんです!」といった熱意だけで売れる時代ではないですからね。社外に対しても、データをしっかり提示して、納得してもらわないといけません。そのため、調査は社内外で活用できるよう意識しています。もちろん社内向けにも使いますが、それだけではもったいないですから。データをどんなかたちで使っていくのかは常に考えますね。
――調査を重ねていくと、データも蓄積されていきますね。
「プロテインをとる目的」など基本的な質問項目は固定していますから、経年変化は確認できます。当時の印象は頭に残っているので、「目的が変わってきたかな?」と、過去の調査結果を振り返ったりすることもありますね。
――コロナ禍でオンラインでの調査も導入されたそうですね。
最初はオンラインで調査ってイメージできなかったのですが、調査方法の一つとしてとても良いと感じています。カメラを介しているので対象者の方も身構えることなく、本音を話しやすいですし、どこからでも参加していただける。こちらとしても、インタビューの様子を社内の人間が見られるのもメリットの一つだと感じています。
お客様の健やかな毎日、健康で幸せな日々のために
――では、ネオマーケティングの印象をお聞かせいただけますか。
対応が早くて丁寧、的確にアドバイスをしてくれるという印象ですね。スケジュールなど急な依頼にも柔軟に対応していただいています。調査後に調査項目や結果についてディスカッションさせていただくことがあって、そうしたフォローは私自身が調査結果をまとめていくときのヒントにもなっています。
また、こういうのもなんですが、必要なときに的確に助けてくれつつ、適度な距離感を保っている。その距離感が絶妙で対話しやすいと感じています。
――逆に、ご要望があれば。
調査会社として、さまざまな業種のたくさんの企業と接していると思います。だからこそ感じるお客様の行動や思考の変化があるでしょうし、それをこちらへの提案の中に生かしてもらえるとうれしいですね。新たな気づきをもたらしてくれると開発の質が非常に高まると思います。
――最後に井戸様の今後の展望や目標をお聞かせください。
もちろん商品の売上も大事ですが、ライフサポートブランドとして、健康で明るく前向きな社会を作ることに貢献できたらうれしいですね。ディアナチュラがある暮らしがお客様の健やかな毎日、健康で幸せな日々につながればいい。
やはりそのためにも、お客様に寄り添った開発を続けていかなくてはいけません。時代の激しい変化を敏感に察知して、お客様のニーズに応える商品を開発していきたい、それが一番ですね。
ネオマーケティング担当者から
今後もお客様目線での商品開発をサポートさせていただきたいと思います
アサヒグループ食品様とは多くの調査をご一緒しておりますが、お客様目線に立った商品開発を実施されており、商品作りへの熱い思いを感じております。
どのフェーズにおいてもお客様の声を大事に商品作りをされている姿を拝見しているため、インタビューなどで聞く「アサヒグループ食品だから安心」という声に、とても納得しています!
今後もお客様目線での商品開発をサポートさせていただきたいと思います。
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