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「生活者起点のコミュニケーション」に必要な橋渡しを担う。

公開日:2024年06月04日 | 更新日:2024年08月06日

はじめに

ネオマーケティングで活躍するスペシャリストの、「現在地とこれから」を紹介するシリーズ。今回はマーケティング戦略のコンサルティングに従事している高橋勇策さんに、今取り組んでいることや目指していること、仕事にかける想いを聞きました。

 

生活者起点のマーケティングコミュニケーションがしたい。

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――はじめに、高橋さんが現在取り組んでいることを教えてください。


ストラテジックプランナーとしてマーケティング戦略の立案をしています。
私のミッションは企業と生活者の橋渡しだと考えています。生活者理解から戦略を組み立てて、コミュニケーションのプロフェッショナルたちに渡していく役割だと捉えています。

 


――ネオマーケティングに合流される前から、豊富なマーケティングの経験をお持ちです。合流された理由は何だったのでしょうか。


広告業界に対する課題意識から、ネオマーケティングに合流しました。

当たり前のようになっていますが「広告の効果・成果があいまい」という点は長年解消されていない問題です。根拠が乏しいままで媒体やフォーマットが決まっていますが、そのようなやり方は先細りしていくと思います。情報を届けるべき生活者をしっかり理解したうえで、ニュートラルな視点からコミュニケーションを組み立てていきたいと考えていました。

私なりの答えが「リサーチを起点としたマーケティングコミュニケーション」でした。生活者理解から始め、「まずは生活者に照らし合わせよう」「いろいろな意見があるし、一度調査してみよう」というワンステップを踏むことができる。ネオマーケティングはリサーチに強い会社なので、容易にこうしたアプローチを取れるのです。

 

リサーチとクリエイティブの橋渡しになる。

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――リサーチを起点に、というお話がありました。手ごたえのようなものはありますか。


社内のリサーチ部門と非常にシームレスなやりとりができていると感じています。

今のネオマーケティングは、以前に増してリサーチ部門が強化されています。社内で「こういう方向性を検証したい」と要望すれば、リサーチ設計にすぐさま反映されます。リサーチ実施後は「こういうことが知りたかったんですよね」と、まとまった形でアウトプットが出てきます。リサーチャーとしっかり対話できるので、クリエイティブにも一貫性があり、PDCAの回転も速いです。

広告代理店にこのアプローチはできないでしょう。コンサルティング会社にはできるでしょうが、高コストになるのは間違いありません。



――リサーチャーとクリエイティブがうまく連携できていると感じた場面を紹介していただきたいです。


定性調査で広告表現の検証を行ったことがありました。
モデレーターが生活者にインタビューし、広告表現が生活者に対して何を届けられているのか深堀りしていくところを、横で聞いていました。内面洞察に長けているモデレーターさんで、広告を考えた自分が“こそばゆく”なるくらい、ゴリっと引き出していて、定性調査の凄みを感じた瞬間です。

リサーチャーとクリエイティブって、まったく交わらない職種として見られがちです。しかし実は、インプットとアウトプットの違いがあるだけで、とても親和性があると思います。ただ相互に関わり合った実体験がないだけなのです。

私はリサーチャーとクリエイティブの間で緩衝材になることで、両者の距離感をなくしていきたいです。その結果として、ストラテジックプランナーというポジションがなくなってもよいと思っているくらいです。

 


――今の仕事が、お客様にどのような価値を提供できていると考えていますか。


リサーチャーとクリエイティブが効果的に連携すれば、「これなら絶対うまくいく」と自信を持てる戦略を立案しやすくなります。土台がしっかりしていれば、ネオマーケティングとしても成果にコミットできます。そのコミットこそがお客様にとっての価値ではないでしょうか。

全員が、自分ごとのように誇れる仕事をしたい。

 

――社内外で多くの人と調整する仕事だと思いますが、大切にされていることはありますか。


すべて自分でやるのではなく、相手にゆだねることを大切にしています。
自分だけでやっている限り、どこまでいっても自分の成功で、周りの成功にはなりません。そうなるとスケールしていかないと思います。

イメージとしては「凧」ですね。
凧の元型は自分が作ってひもを持っているのですが、いろいろな人が改良を重ねて手を加えていくんです。そのうち宇宙まで飛んで行ってしまう。そのときにみんなで「宇宙まで飛んで行ったあの凧は、自分が作ったんだぜ」と胸を張れるような、そんな仕事を心がけています。

 

日常生活の中で感受性を磨く。

 

――高橋さん個人のスキルについてもお話を聞きたいです。営業部門からの相談に応じているところを見ていると、本当に着想というか、着眼点が豊富だと感じます。どうすればそうなれるのでしょうか。


引き出しの多さは、確かにあると思います。
リサーチ、クリエイティブ、ブランディング、新商品開発、一通りを経験しました。扱った商材は、旅行、行政サービス、家電、インバウンド、など幅広くやらせてもらえました。

でも、幅広い業界経験がなければ引き出しが少ないままかというと、そうではないと思います。20年前から、日常生活の中でどれだけ感受できるかを意識して過ごしてきました。
昔飲んでいるとき友達から、「広告代理店のマーケだったら、今の時代を一言で表現すると何?」と話を振られたことがありました。その一言すら即答できないのは、マーケターとしてかっこわるいと思ったのを覚えています。それ以来、今の時代や空気感、街ゆく人の雰囲気とか風潮はどうなんだろう、と考えて、人に話してみる習慣が身に付きました。

 

多様性が生きる組織がイノベーションを生み出す。

 

――今後の展望を教えてください。


最初にお話ししたことに戻るのですが、広告が生活者に影響できているのか、冷静に考えなければいけないと思います。

リサーチャーは、調査設計やアンケート票設計といった型を作る仕事に固執しすぎないことが大切です。そうでなければ、リサーチャーが単なるツールになってしまいます。クリエイティブに越境して提案していく姿勢が大切ではないでしょうか。「生活者はこういう商材に、こういうことを期待しているんだ。だからこういう世界観、メッセージでいこうよ」というように、リサーチャーの視座をクリエイティブに提供していくべきだと思います。

クリエイティブは、テクニカルな部分に囚われすぎないことが大切だと思います。デジタルマーケティングのインプレッションといった計測値だけ見てクリエイティブを機械的に作るのではなく、リサーチャーに対して「こういうことが知りたいんだが、調べられないだろうか」というように、アナログなコミュニケーションがあってもよいのではないでしょうか。

 


――これから取り組んでいきたいことはありますか。


多様性が生きる組織づくりをしていきたいです。なぜならば、私たちの仕事には正解がなくて、お客様と一緒に試行錯誤して作っていくものだからです。多様性があるからこそ、生活者に対してさまざまな視点で感受性を発揮し、理解し、提案できるのです。

中学・高校の頃、私は自分の言っていることが周りに受け入れられていないと感じていました。地元の狭くて似通ったコミュニティだったので、多様性が低かったのかもしれません。しかし大学生になったらその気持ちは解消しました。いろいろなバックグラウンドの人がいて、多様性があったのです。

共感できない人がいるのは仕方ないことですが、相手の意見を尊重できるスタンスは大事にしたいです。その人に共感できる人が組織の中にいればいいのです。イノベーションは、多様性のある組織から生まれていくと信じています。

 

プロフィール

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ストラテジックプランナー
高橋 勇策

マーケティングプランナーとして三菱電機のハウスエージェンシーにてキャリアをスタート。 その後、株式会社大広で22年にわたりストラテジックプランナーとして戦略立案に従事。新商品開発・ブランディング・統合コミュニケーション・デジタルコンテンツ開発等に携わる。 酒類・飲料・健康食品・食品・官公庁・旅行・保険・電機メーカーなどのクライアントを担当。

 

 

 

 

 

 

 
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