株式会社キュービック メディア事業本部 事業統括責任者 河西 将吾 様 PXO PR 小笠原 舞子 様
設立:2006年10月24日
事業内容:デジタルメディア事業 SNSアニメ事業 通販事業者向け集客支援事業 プラットフォーム事業
従業員数:(単体)304名 (連結)483名※2021年5月末時点 ※学生インターン含む
主にデジタルメディア事業を展開する株式会社キュービック様は、2023年1月末に履歴書作成ツール「ミライトーチ」をローンチしました。ミライトーチは、会員登録不要でWebから無料で履歴書を作成できるサービスです。同社はローンチ後に、採用担当者300人にアンケート調査を行った「履歴書に関する調査」の結果をプレスリリースし、「志望動機は意外なほど見られていない」や「写真はスーツ姿でなくても構わない」などの結果が話題となりました。テレビやニュースメディアにもこの話題が取り上げられ、プレスリリースのPVは普段の2倍以上になり、ミライトーチへの訪問者(利用者)も順調に増えています。
本調査を実施したのは株式会社ネオマーケティングですが、同社が企画段階から参画したことがアンケートの成功につながっているといいます。今回はミライトーチの概要や意外だったアンケートの結果、ネオマーケティングの調査にこれから期待することなどを、メディア事業本部 事業統括の河西将吾様と、PXO PRの小笠原舞子様に伺いました。
――はじめに、株式会社キュービック様が展開するデジタルメディア事業についてお話しいただけますか?
小笠原様 株式会社キュービックは、主にデジタルメディア事業を展開し、現在まで累計50を超えるメディアを運営してきました。例として比較サイトをイメージしていただくとわかりやすいかと思います。たとえばユーザーが、なんらかの商品やサービスを比較検討したいタイミングで検索エンジンを使って検索します。検索の結果、私たちの比較サイトに訪問し、どのようなものがよいのか検討してもらうのです。最終的にクライアントのページにユーザーが遷移し、そこで商品の購入やサービスの登録を行うことで私たちの報酬となります(成果報酬型事業)。
現在はメディア事業を拡張していくフェーズで、ヒトのインサイトを捉えて、これからもさまざまなメディアを展開していきたいと考えています。今回ローンチした「ミライトーチ」もその1つとなります。
――ミライトーチについて、概要も含めて特徴などを教えていただけますか?
河西様 ミライトーチは、完全無料・会員登録不要の履歴書作成ツールです。フォームに沿って情報を入力するだけで、アルバイトの応募や就職・転職活動で使える履歴書を簡単に作成できます。顔写真をアップロードすればトリミングできます。学歴の自動計算機能もあるので卒業年度などを調べる手間がかかりません。作成し終わった履歴書は、スマホやパソコンにPDFでダウンロードできます。
小笠原様 単に履歴書を作成できるツールは他にもあるのですが、広告が多く表示されて使いにくかったり、個人情報の登録が必要だったりするツールがほとんどです。私たちは完全に無料、登録も不要でミライトーチをお使いいただきたいと考えました。新型コロナの影響で有効求人倍率はいったん落ちましたが、現在は売り手市場(求人が多く求職者が少ない)で、企業の採用活動も活発化しています。ミライトーチは1月末にローンチ後、日に日に利用者が増えている状況です。また一度作成した履歴書を修正したいという再訪者も増えていますね。
――もう手書きの履歴書というのは受け入れられないものなのでしょうか?
小笠原様 実はそうでもないのです。詳細は調査リリースの内容を見ていただきたいのですが、手書きの方が「求職者の意思が伝わる」と答えた方も何%かは、いらっしゃいました。ただし膨大な数の履歴書を見なければならない大企業の担当者ほど、履歴書はデータで欲しいと回答しています。セキュリティ上、暗号化するなどして保管しやすいというのも理由の1つでしょう。
―― 株式会社キュービック様ではミライトーチのローンチ後、5月にPRTIMESでプレスリリースを発表しておられます。「採用担当者300人に聞いた!約7割が『履歴書で本当に必要なのは「基本情報」「職歴」の2つ』と回答!記載項目を必要最低限にしたシンプルな履歴書作成機能をミライトーチがリリース」というものです。このプレスリリースに先立って御社からネオマーケティングにアンケート調査をご依頼いただきました。まずこの調査の背景をお聞かせ願えますか?
■調査の背景
小笠原様 当社は、以前から調査リリースを出すことが多いです。BtoB企業なのでプロダクトのローンチというよりも、転職メディアであれば転職関連の調査であるとか、当社が運営している領域における調査リリースをしています。今回もプロダクトのローンチだけですと、ニュース性や強みに欠ける点があります。ですから、まずプロダクトを投入する領域の調査を行って、課題感を把握した上でソリューションとなる機能を反映させたプロダクトをローンチする、というストーリーにしています。
またローンチしたプロダクトに関してメディアからの取材などがあった場合、単にプロダクトをローンチしたというだけでなく、追加した機能や特徴にはそれなりの理由が必要になります。あらかじめ調査を行って結果を把握しておけば、プレスリリースの権威性や説得力が増すというわけです。また仮に記者の方が商品やサービスに興味を示さなくても、「この情報だけ使っていいですか?」や「統計データを引用していいですか?」というお問い合わせをいただくことがあります。関連して商品やサービスの情報を載せてもらうことで情報を自由に使っていただくということもできるようになります。これは調査リリースならではの効果です。
――逆に調査データのないプレスリリースを出すこともあるのですか?
小笠原様 それはあまりないですね。たとえばM&Aや役職者のジョインなどの経営情報であればそれだけでニュースバリューがありますが…基本的に事業と結びつけてプレスリリースする場合には業界の調査を行なっています。
■採用担当者の本音からは意外な事実が続々
――今回は企業の採用担当者300人に、履歴書に関する調査を行いました。
河西様 そうですね。ネオマーケティングさんにご協力いただき、企業の採用担当者300人に対してインターネット上で調査を行いました。調査項目は「履歴書にないと困る項目」や「今後一般的になりそうな履歴書の作成方法」、「望ましい履歴書の提出方法」などです。「基本情報(名前、生年月日、年齢、住所、連絡先、メールアドレスなど)や職歴はおよそ7割の採用担当者が必要と回答したこと」、「採用担当者の46%が履歴書フォーマットが一貫していないことに課題を感じていること」、「採用担当者の54.3%が履歴書はデータ提出が望ましいと回答」、「履歴書データのファイルはPDF形式を望むが78%」など、興味深い結果が得られました。
※他にも採用担当者の方からは意外な本音が聞けているので、詳細は以下をご覧ください。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000126.000012817.html
――調査結果の中で特に意外だったことはありますか?
河西様 「履歴書の項目で、これだけはないと困るという項目は?」という質問に対して「基本情報(名前、生年月日、年齢、住所、連絡先、メールアドレスなど)や職歴はおよそ7割の採用担当者が必要」と回答していましたが、我々も履歴書には基本情報と職歴だけでいいのでは?と仮説を立てていました。逆にいえば3割の採用担当者は基本情報や職歴すらいらないと考えているわけで、それは意外でしたね。
――今回、ネオマーケティングとしては設問を作る段階からお手伝いさせていただきました。仮説というか、ある程度このような回答が出てくるだろうとは予測されていた感じでしょうか?
小笠原様 まずは我々の中でおそらくこうだろうという仮説があって、サービスの内容をアップデートしていく上でも、私たちはこの仮説を元にさまざまな機能などを付加していきます。ですから仮説の裏打ちとなる結果が出ることはとても重要なのです。過去事例であるのが、設問の作り方が悪く、我々の想定とは違う回答がいくつも出てきたことがありました。
たとえば、ある項目を「見ていますか?」と聞けば「見ています」と答える人が多いかもしれません。ですが同じ項目を「重要視していますか?」と聞いた場合には答えが変わることも考えられます。要は聞き方や設問の内容によって、同じことを聞いても答えが変わってしまう可能性があるのです。今回の調査では、ネオマーケティングさんに、かなり詳細に質問項目の調整をしていただきました。結果として我々が期待していた結果が得られたと考えています。仮説の裏打ちができて大変ありがたかったです。
――今回の調査リリースの反響はどのようなものでしたか?
小笠原様 反響は非常に大きかったです。PRTIMESだけの数字でいうと、普段は500から多くても1300PV程度なのですが、今回は2059PV、UU(ユニークユーザー)数も多く、転載も25サイトほどありました。PVでいえば普段の2倍以上ですから、かなり注目されたといえます。産経新聞や時事通信社、Yahoo!ニュースにも取り上げられました。またPRTIMESには「瞬速」といって、リリースされてから2時間以内の記事のPVランキングがあるのですが、そちらでも2位になりました。
――ここまで成功した要因にはどのようなものがあるのでしょうか?
河西様 おそらく転職者が感じている「不(不安や不満など)」の部分に刺さったのかな、と思います。普段不安に感じていることへの答えが、このリリースにはあったのかな、と。また転職者は、他の人たちがどうしているのかをとても気にします。新卒であればさまざまな悩みや疑問を同年代の人たちと共有できますが、転職者はそうはいきません。まさか転職の悩みについて、現在の会社の同僚に聞くわけにはいきませんものね(笑)。ですから転職者は、常に不安や疑問をもっています。他の転職者はこんな場合どうしているのか? とか、たとえば履歴書は何社に提出しているのか? などです。今回のリリースは、そんな人たちが「あー、これでいいんだ!」と気づいてもらえる材料になったのかなと思います。これからのミライトーチは、そんな不安をもつ転職者の方々に情報提供を行っていきたいです。
――今回の調査ではネオマーケティングのサービスをご利用いただきましたが、ご評価のほどはいかがですか?
小笠原様 以前お願いしていた他社の調査サービスは、調査して終わりという感じでした。質問項目はすべてこちらで考え、調査会社は、その質問の通りにモニターに調査するだけ。ネオマーケティングさんは、欲しいデータの質問項目を一緒に考えてくれました。質問の仕方によってモニターの回答は簡単に変化してしまうものです。決して私たちが欲しい回答に誘導するわけではありませんが、こちらが本当に聞きたいことをストレートに聞いて、納得感のある回答が欲しいのです。
質問の内容がセンシティブになり、難易度が上がるほど、その道のプロである企業に協力して欲しい。当社と調査を依頼する会社で、質問の壁打ちができるかどうかがとても重要です。今回の調査のように調査の企画段階から参画してくれて、アイデア出しや質問項目の調整まで一緒にやってくれる会社は貴重です。ネオマーケティングさんに調査を依頼したのは、正解だったと考えています。
――ありがとうございます。今後のネオマーケティングに期待したいことなどはございますか?
小笠原様 すでによくやっていただいていますが(笑)。PR会社や代理店さんなどでは「企画段階から調査まですべてやります! 1本数百万円です!」という会社はあります。でも調査の丸投げはしたくないのです。調査をどのように行うのか、企画段階から参画して提案して欲しい。調査項目や質問の一言一句まで、一緒に考えて欲しい。ネオマーケティングさんの、一緒に歩んでくれるその姿勢に今後も期待したいです。
――最後に、今後のミライトーチと御社の事業展開についてお聞かせ願えますか?
河西様 ミライトーチは、現在は履歴書作成ツールとして運営しています。今回の調査を通して、今まで多くの人が何気なく使っていた履歴書のフォーマットにも「不」があることが分かりました。ということは、就職・転職活動には履歴書だけでなく、他にもたくさんの「不」があるのではないかと考えています。
労働人口が徐々に減り、ますます雇用の流動化が必要になってきています。転職したくて転職活動をしたのに、転職を実現できなかった方も多くいるという調査結果も出ています。ミライトーチは、そういった転職活動に潜む「不」を見つけ出し、解決していくようなサービスに進化させていきたいと考えています。ミライトーチで、一人でも多くの人が転職を実現できるようになったら良いなと考えています。
――本日はどうもありがとうございました。
※履歴書作成ツールのミライトーチは以下URLからご確認ください。
https://www.hop-job.com/resume/
キュービック様にはリサーチ結果を活用いただき、大きな反響に繋がりました。一般的にリサーチはコストだと認識されておりますが、正しい設計と活用方法次第では投資になり得る重要な取り組みです。今後も継続的に支援させていただき、ミライトーチの発展と採用業界の「不」の解消にお役立ち出来れば嬉しく思います。
M.N