企業事例インタビュー|ネオマーケティング

従来の販促にイノベーションを起こすために取り組んだ「~イノベーション共創プログラム~INSIGHT DRIVEN」とは?|ホーユー株式会社|企業事例インタビュー

作成者: 株式会社ネオマーケティング|2019/12/24 15:00:00

ホーユー株式会社 コンシューマー事業本部 営業統括室 販売開発課 係長  大池祐輝様
設立:1923年3月
事業内容:ヘアカラー・頭髪化粧品・家庭薬の製造、販売
従業員数:1,033名 (2019年2月1日時点)

 

ヘアカラーの市販品市場に危機感を抱き、店頭販促ツールの改革を決断

 

ホーユーは1905年に 家庭薬製造販売業社「水野甘苦堂」として創業、1909年 に当社初めての染毛剤「二羽からす」を発売以来100年以上に亘って、ヘアカラーを中心とする頭髪化粧品を提供している専業メーカーです。創業から変わらず持ち続けているのは、お客さまに「若々しく、美しく、健康になる製品」をお届けしたいという思いです。

当社のヘアカラー商品には大きく市販品と業務用の2種類がありますが、日本の人口減少と美容院でのヘアカラーニーズ増大などがあいまって、市販品の売り上げが減少傾向にありました。これはもうホーユーという1メーカーの課題というよりは、市販品市場そのものの課題。“シェア43%強を占める最大手の当社こそが真っ先に改革に動かなければ”という思いがあって、店頭販促ツール(以下、POP)の抜本的な刷新を検討し始めました。

具体的には、毛見本の扱いです。染め上がりの色がわかりやすいようにと伝統的に提供してきたんですが、“もう商品選びの参考にされていない”という声がありました。それなら新規ユーザーは、店頭でどんな情報をどのように入手できれば買ってくださるのか。そこが自問の始まりでした。

 

 

実現したエンドユーザーとの「共創ワークショップ」

 

実は、これからの時代はデジタルツールだと思って、毛見本は不要という前提の下に店頭に置く商品選択アプリを開発しかけていたんです。「探しているのは白髪染め? おしゃれ染め?」という質問から始まるんですが、その大分類がそもそも新規ユーザーには理解されていないという衝撃的事実がわかって開発を中断。一度きちんと消費者調査をしてみようということになりました。

そして、2019年4月、ネオマーケティングに「調査手法から提案して」と依頼しました。他社には声をかけていません。2年前、上司が中国・上海の消費者調査を依頼して重要な“気づき”を得たことがあって、全幅の信頼を置いていたのです。

それで出てきたのが、3つのSTEPからなる調査提案書です。STEP1は新規ユーザーやヘアカラー愛用ユーザーの店頭での「行動観察調査」で、STEP2はその商品を利用した新規ユーザーへの「デプスインタビュー」です。そしてSTEP3では、ヘアカラー愛用ユーザーとともにどんな店頭販促ツールが望ましいか「共創ワークショップ」を行います。

圧倒的に目を引いたのはSTEP3の「共創ワークショップ」です。過去に経験したグループインタビューでは、ミラー越しにお客様どうしが話しているのを聞くだけで直接会話はできませんでした。「じかにヘアカラー愛用ユーザーの話が聞けるとは!」と思いましたね。ネオマーケティングが繋がっているエンドユーザーである “アクティブパネル”の幅広さに驚きました。

 

 

 

触発されたユーザー視点ならではの画期的な意見・アイデア

 

調査は、STEP1・2・3ともに発見の連続でした。売場で毛見本が参考にされていないというのは仮説どおりでしたが、その理由は“元の髪色が違うと見本どおりの染め上がりにならない”ことをヘアカラー愛用ユーザーは経験的に知っていたからでした。

また、白髪染め商品とおしゃれ染め商品の違いがよく理解されていない理由は、前者パッケージのモデル女性がおしゃれ染め商品同様に若々しいことにも原因があったようです。 デジタルツールについても“商品情報の提供は歓迎だけれど、商品選びで迷っていると思われたくないから売場に置かれても使わない”という声が出てきて、思わず「なるほど」と思いました。

特に、ヘアカラー愛用ユーザーとの「共創ワークショップ」では、ネオマーケティング本社のスタジオに実際の売場を再現してそれを見ながら進めたからか、POPに対する率直な意見が次々飛び出しました。なかには「こんな風に販売すればユーザーも買いやすいのでは?」と、販売手法にもユーザー視点ならではの画期的なアイデアを出してくださる方もいて触発されました。

上司も後から「STEP3は実施してよかった」とうなずいていましたし、調査結果を可視化して行った最終報告でも、本部長から「その通りだと思う。どんどん前へ進めるように」との言葉をもらいました。

 

 

 

今回の調査結果を元に、動き出したさまざまなPOP施策

 

現在、すでにいろいろな施策が動き出していますが、すべてネオマーケティングの調査結果を元にしています。 毛見本は撤去する可能性が高いですが、当社だけでは効果が限定されるため、他社もまきこんでうまく進めたいと思っています。

また、白髪染め商品とおしゃれ染め商品の境がよくわかるように、売場に境界線POPを立てる案。そしてデジタルツールは、調査結果から出てきた声を最大限に生かす形で年内にも開発着手します。

今後、当社はインバウンド市場のマーケティングにも力を入れていくので、ネオマーケティングにはそちらも手伝ってもらえればと思っています。彼らはフレンドリーで、われわれに寄り添いながらも、しっかりイニシャチブを取り、言うべきことは率直に言ってくれるので頼りになるパートナーです。

 

 

 

 

ネオマーケティング担当者から
“ストレスなく商品を選べる売場”イノベーションを伴走させていただきました

もともとホーユー様とのおつきあいは、当社の協力会社経由で始まりました。協力会社の提案の一部に関わる裏方役だったのです。その後、他社が思いつきもしなかった提案をしたことで、おもしろい調査会社だと思っていただくようになりました。それが2年前の上海での消費者調査に発展つながっています。

今回の売場POP改革に向けた消費者調査では、“ストレスなく商品を選べる売場を実現し、結果としてそれが商品売上に大きく寄与できるように”というゴールを策定。それに基づいて全体設計を行い、「共創ワークショップ」を最終段階とした3STEPからなる「~イノベーション共創プログラム~INSIGHT DRIVEN」を提案させていただきました。すべてのSTEPを伴走しながら、われわれ自身も大きなインサイトを得たことを実感しています。今後も引き続き、ホーユー様の課題に即応していきます。

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