キヤノンマーケティングジャパン株式会社 IT本部デジタル戦略部デジタルビジネス推進課 因幡様、飯田様
設立:1968年2月1日
事業内容:キヤノン製品および関連ソリューションの国内マーケティング
従業員数:連結:15,973名 単独:4,653名(2022年12月31日現在)
キヤノンマーケティングジャパン株式会社は、主に中小企業のDX推進を支援するリーディングカンパニーです。とくに現在、同社は「攻めのDX」と呼んでいる営業DXの分野に特化したサービスを展開しており、今後は順次サービスを拡充したいと考えていました。しかし、顧客が抱える営業DXの課題やキヤノンのサービスへの反応を把握することが難しいという課題を抱えていました。
今回、ネオマーケティングのインタビュー調査を利用することで課題の解決につながったといいますが、そのポイントはどのようなところにあったのでしょうか? 今回は、IT本部デジタル戦略部デジタルビジネス推進課の因幡様と飯田様に課題解決までの経緯やインタビュー調査の効果について伺いました。
――はじめに、キヤノンマーケティングジャパン株式会社様が展開する、攻めのDXについてお話しいただけますか?
因幡様 私たち(因幡様、飯田様)が所属している部署は、IT本部デジタル戦略部という部署でして、ここはデジタルビジネス開発を目的として設置された部署となっています。また同時に、世間で言うところのいわゆる顧客のDXを推進するミッションもあります。もう少しDX推進について具体的に言いますと、私たちは「守りのDX」と「攻めのDX」という2つの領域でミッションをもっています。守りのDXは、社内業務の効率化でデジタルをいかに活用するかという領域。
ここは以前から、私たちがお客様に提案してきた領域です。もう1つの攻めのDXとは、今まで培ったデジタルノウハウを生かして、外のお客様に対してビジネスモデルを変革する支援をしたりとか、またキヤノンマーケティングジャパンとして、新しいサービスやビジネスを開発したりする領域を指しています。言い方を変えると、業務効率改善やコスト削減とか、効率化を目指している領域は守りのDX、売上拡大とか新規ビジネス開発を目指しているのが攻めのDXになります。
――現在の仕事の比率としてはどちらが多いのですか?
因幡様 今は攻めのDXですね。キヤノンマーケティングジャパンとしては、今までは守りのDXの仕事が多かったです。ペーパーレスであるとか、ドキュメント系のソリューションですね。もちろんこれかもそちらはやっていくのですが、それだけだとお客様のご要望に応えられなくなってきました。現在はお客様の課題も多様化し、業務効率化だけじゃなく売上拡大もしたいとか、新しい顧客を開拓したいとか、どんどんお客様の課題が増えているので、そこに対応するサービスを開発しているところです。
メインの商材としてはWebサイト診断やイベント・共催セミナー、営業ツールのデジタル化支援、Googleアナリティクス活用支援で、コンセプトはWebサイトだけとかデジタルPOPだけとかではなくて、上流の設計の部分から施策の実行、その後の伴走支援まで、新規顧客開拓を一気通貫で支援することです。
――なるほど。よろしければ、今おっしゃっていただいたメイン商材の詳細についてもお話しいただけますか?
・Webサイト診断
因幡様 Webサイトは作って終わりではなくて、時間が経過すれば古く見えるようになります。またお客様も、従来はWebサイトを通じて情報提供だけを行っていたけど、そのWebサイトを経由して新しい案件を獲得したい、顧客を獲得したいというように時間が経つとニーズが変わります。そうしたときに目的に合ったWebサイトにするために、「まずどこから手をつけたらいいのだろう?」とか、「どこから改善したらいいのだろう?」という疑問(課題)が発生するのです。
私たちのWebサイト診断サービスというのは、お客様のWebサイトを分析して課題を発見し、課題は何で、まずここから手をつければ一番効果的だという回答をご提示するサービスになっています。診断と分析、その後の設計まで私たちが行い、実際の制作は外部のパートナー企業に依頼をしています。
・イベント・共催セミナー
飯田様 次にイベント・共催セミナーですが、デジタルで開催するオンラインイベントに対して、その企画から集客、制作や実施、アフターフォローまでを一気通貫で支援するサービスとなっています。
・営業ツールのデジタル化支援
因幡様 営業ツールのデジタル化とは、今まで営業パーソンが訪問して行っていた営業行為を動画などにして、提案内容をブレなく伝え、また1:1で行っていた営業を1:nでできるようにするサービスです。
・Googleアナリティクス活用支援
因幡様 Googleアナリティクスの活用支援は読んでそのままですが、Webサイト診断後にサイトを一新してから、自社でサイトの分析ができるようにご支援するサービスです。Webサイトはユーザーの反応を見ながら、細かくPDCAを回す必要がありますからね。
――今回はネオマーケティングにインタビュー調査をご依頼いただき、私どもの方から調査対象となる企業のリストをお出ししています。そのリストの中から企業を選んでいただいてインタビューを実施、結果を集計しましたが、今回のインタビュー調査をご依頼いただくにあたって御社にはどのような課題があったのでしょうか?
飯田様 当社は新規事業サービスの開発をしていく中で、サービスプロトタイプというものを作ります。そして実際にお客様に使っていただいて、評価のフィードバックをいただきます。この評価を元にサービスを改善していくのですが、私たちはこれを非常に重要視しています。以前はすでに取引があるお客様にインタビューしたり、営業のつてを使ったりとか、あとはセルフマッチング型のインタビュー会社を使ってフィードバックを集めていました。
ところが、やはり母数に限りがありますし、とくにセルフマッチング型の場合は対象企業のリストは出るんですが、その後の対象企業に対する説明やアポ、質問内容の設定を自社でやらなければなりませんでした。私たちのプロジェクトは因幡と私、兼任の者を合わせて2.5人で進めています。自社でそれらを進める工数は大変な負担でした。また、インタビューの専門的なスキルもないので、正しくお客様の深いところまで、つまり潜在的な課題までしっかり聞けているのかが課題となっていました。
そんな中で、以前アンケート調査を依頼したネオマーケティングさんに相談させていただいたというわけです。BtoBの調査について豊富なご経験をお持ちでしたし、専門性が高い企業さんにお願いすることで、より深い対象企業のインサイトを探ることができるだろうと。またリソースについての悩みもありましたので、専門的な業者さんに支援していただきたい、ということになりました。今回はターゲットの条件設定から、設問の設計、本番の流れ、集計、分析まですべて担当していただきましたね。
―― ありがとうございます。今回のインタビュー調査を通じてとくにお知りになりたかったことや、インタビューの目的のようなものはありますか?
飯田様 はい。とくにヒアリングしたかった内容は大きく3つです。1つ目は営業DXを着手するにあたっての課題。これを深いところまで聞きたいと思いました。2つ目は営業DXを進めるときに外部委託する支援企業の情報。依頼をする背景や依頼する領域などを聞いてみたい。3つ目は私たちキヤノンマーケティングジャパンのサービスに対する率直な意見です。
対象のお客様は中堅・中小の製造業、まずここに本当にニーズがあるか調査したかった。部署は営業企画や、決裁権限をもっていて経営陣に対して上申するミッションをもつ部署でしょうか。
・インタビュー前にもっていた不安
――インタビューを実施する前にもっていた不安のようなものはありますか?
因幡様 いつももっている不安がありまして(笑)、ちゃんと話を引き出してくれるだろうか、私たちが聞きたい回答を得られるだろうか、というところですね。
飯田様 定性的な調査はアウトプットが出てからでないとわからない部分がありますからね。定量的な調査は今までも実施していましたが、今回のような定性的な調査は初めてだったので、ちゃんとしたアウトプットが出てくるかどうかは不安でした。
――今回のネオマーケティングの調査はいかがでしたか?
因幡様 大丈夫でした! 満足しています。
・インタビューの内容について
――今回、他にどのようなことをお客様に質問されたのでしょうか?
飯田様 たとえば、お客様の部署のミッションや課題、現在すでに営業DXの推進を依頼している業者があるかとか、依頼しているのであればその評価、現状のご不満や改善点などです。また率直に私たちのサービスを「いくら」だったら利用したいとか、あとは依頼するにあたっての懸念点などですね。
調査して初めてわかった意外な回答
因幡様 値頃感に関しては、結構幅がありましたね。そんなに安いのかと言う人もいれば、高いと言う人もいて。また意外だったのがツール導入のきっかけです。ある企業さんの話ですが、前に導入したツールの営業サポートの足が導入から時期を経て遠のいていて、対応に不満があった。そこへ展示会でちょうどよいツールがあったものだから、一気に入れ替えてしまった。そんなロジカルでない理由で、タイミングだけで入れ替えるものかと(笑)
でも、信頼の積み重ねってすごく大事なんだなって思った出来事でした。私たちも地道にお客様とコンタクトを積み重ねていかないと、と思いました。とくにキヤノンがDXみたいなサービスをやっていることはまだまだ認知度が低いので、信頼の積み重ねが大事ですね。
・インタビュー結果を積極的に活用
――現在はインタビュー結果をどのように活用しておられますか?
飯田様 私たちのサービスの見せ方やコンセプトを、お客様からいただいたフィードバックを元に見直しているところです。具体的にはWebサイト上の資料であるとか、Webページそのものを見直しています。あとは提案資料ですね。また、お客様と実際に面談するときの進め方なんですけど、私たちは信頼貯金と呼んでいますが、一回一回の面談においてきちんと毎回フィードバックを返す。そのような商談プロセスを重ねて信頼貯金を貯めて、何かしらお客様に引っかかるサービスを提供できるような取り組みをしています。複合的な結果ではあると思いますが、リードも取れるようになってきています。
因幡様 もともとこの事業は、新規顧客開拓のために上から下まで(上流設計〜施策実行〜伴走支援まで)一気通貫でできますってことではじめました。ただ途中、お客様に伝わりにくいかな? と思ってバラバラに提案したことがあるんです。Webサイト診断であるとか、Googleアナリティクスの活用であるとか……。でも結局、今回調査してみたら一気通貫がよいという答えが多かった。その理由は、一気通貫でやっている会社がないからってことでした。新しい発見でしたね。
飯田様 あとは今あるツールをとにかく活用したい、というニーズがあることもわかりました。当初私たちは、営業DXを進めるために新しいツールを導入して大きく改革したいというお客様が多いのかと思っていたんですが、現在使っているツールをどう活用していくかということが重要でした。当社としては特定のツールを担いでいるわけではないので、変な色がつかずに有利かもしれません。
――では今回のインタビュー調査ですが、ネオマーケティングをお選びになった理由をお聞かせ願えますか?
因幡様 まだこのサービスを始めてさほど時間が経っていないので、中小・中堅の企業さんで、かつ製造業のお客様が、デジタルについてどのようなお悩みをもっているかということを把握できていませんでした。だから何か調査をしなければいけないっていうのがことの発端です。
調査会社さん何社かにお話を聞いていく中で、ネオマーケティングさんの提案が一番よかった。実際には3社ほど相見積もりを取ったんですが(笑)、ネオマーケティングさんはヒアリングの際に私たちの要望をしっかりくみ取ってくれた。こういう調査だったらこんなやり方がよいですよと、課題に対して提案を即座にしてくれました。そこが高い信頼につながりましたし、調査会社として専門性が高いこともポイントでした。
飯田様 あとこれは結果ですが、インタビュアーの方のインタビュースキルがとても高かった。私たちが聞きたいことを、しっかりとお客様から聞き取ってくれました。また設問に関しても事前に一緒に練っていただいたので、よい回答が引き出せたのかなと思います。
・今後のネオマーケティングに期待すること
――ありがとうございます。では、今後のネオマーケティングに期待することはございますか?
飯田様 調査不足かもしれませんが、BtoBの調査というのは定量も定性も頼めるところが見当たらないのです。他の部署からもたまにBtoBの調査を頼めるところを聞かれたりします。BtoCの調査会社はよくありますが、BtoBに特化した調査会社って、貴重なのかなと思います。
たとえば、私たちが既存のお客様にインタビューしても、やはり相互の関係に気を使われたりして率直な回答を得られないことが多いのです。ですからサービスの企画側としては、しっかりとした調査会社さんにお客様の率直なご意見を聞いていただきたいです。
――では最後の質問になりますが、キヤノンマーケティングジャパン様としては、これからこの事業をどのように進めていかれるのでしょうか?
因幡様 現在の状況は、DXって言葉だけが大きくなっている状況だと思います。まだまだ遅れている企業様もおられますし、どうやったらいいかわからないというお客様のご支援をしたいと思っています。
先ほど信頼貯金の話がありましたが、私たちもまだ駆け出しなので、ツールをポンと渡して終わりではなく、しっかりと寄り添うような形で、少しずつ認知してもらい、ビジネスを大きくしていければいいんじゃないかなと思います。将来的には自社内の他部署にも同様のサービスを提供できるようになりたいですね。
飯田様 先ほども申し上げましたが、私たちのサービスはまだまだ認知度が低いので、外部の活動を増やして認知度を上げていきたいですね。またサービスの拡充もお客様の改革に合わせて増やしていきたいです。
――本日はどうもありがとうございました。
今回キヤノンマーケティングジャパン株式会社の因幡様、飯田様のお二人に、弊社のインタビュー調査をご活用いただき、大変光栄に存じております。
以前からやり取りをさせていただいている際に、プリンティング時代のお客様から「webサイトもできないの?」という一声がきっかけで、デジタルマーケティングのコンサルティング事業(デジタル戦略部)が発足したという背景をお伺いしております。
今回は社内営業部向け、クライアント様向けの取り組みでしたが、今後はクライアント様のみならず、社内の方々からも相談が集まる立ち位置になっていきたいという、熱い想いを持って活動されているお二人からは、常に刺激をいただきました。
今後も因幡様、飯田様含めキヤノンマーケティングジャパン株式会社様の、一助となれるよう精進してまいります。
コンサルタント
S.O