生活者起点のリサーチ&マーケティング支援を行なう株式会社ネオマーケティング(所在地:東京都渋谷区)は2023年1月17日(火)~2023年1月19日(木)の3日間、全国の20歳~79歳までの男女を対象に「推し活」をテーマにインターネットリサーチを実施いたしました。
<調査背景>
アイドルや2次元のキャラクターなどのファン活動として、いま幅広い世代に広まっている「推し活(おしかつ)」。 元々はアイドルグループのコアなファン達が、「イチオシ」のメンバーを「推しメン」と呼んでいたことに由来しています。今ではコアなアイドルファンのみならず、ライトなオタクを自認する幅広いジャンルにおいて使われる言葉となりました。人だけでなく、動物や食べ物に使われることも珍しくありません。
そんな「推し活」をする人の消費行動、つまり「オタク消費」がマーケット的にも注目を浴びている昨今。
今回は、前回調査より調査対象の年齢層を広げて、実際に推し活をおこなう人の消費行動や心理状況などを様々な角度から調査しました。是非今後のマーケティング活動の一資料としてご活用ください。
※本記事では、特定の人・モノを応援している/特定の人・モノに熱中していることを、特定の人・モノを「推している」と表現しています。また、推している対象に関する活動を「推し活(ヲタ活)」と表現しています。
<調査概要>
1.調査の方法:株式会社ネオマーケティングが運営するアンケートサイト「アイリサーチ」の
システムを利用したWEBアンケート方式で実施し、人口動態を基にウェイトバック集計
2.調査の対象:アイリサーチ登録モニターのうち、全国の20歳以上79歳以下の男女で、推し活・ヲタ活をおこなっている人
3.有効回答数:1104名
4.調査実施日:2023年1月17日(火)~2023年1月19日(木)
「推し活に関する調査」主な質問と回答
◆男性の場合“公式”ではないオフラインでの独自活動が、女性よりもやや多い傾向にある。
男性の場合は“公式(=運営)”が提供するコンテンツではない、独自活動(特にオフライン)が、女性よりもやや多い点に特徴があった。「推している対象に関わる場所へ訪問する」「現地におもむき、推している対象を撮影する」「コミュニティに参加する」といった活動の割合が、それぞれ女性よりも3〜7.8ポイント高くなっている。
◆推しの話をすることに20代は抵抗なし64.5%・30代は抵抗なし46.5%と、18ポイントもの差。
抵抗はないと回答した割合は、20代で64.5%であるのに対し、30代は46.5%と、18ポイントも低くなっていた。
20代の中でも特にZ世代は、SNSネイティブで、個々の趣味嗜好に寛容な価値観を持つため「オタク」という言葉にネガティブなイメージが無い世代。一方30代は「オタク」のイメージが未だネガティブだった時代に、当時全盛期であった日本初のSNS「mixi」やブログサービスを駆使しひっそりとオタク活動をしていた世代。
同じ若年層でも20代と30代は、推しの話題をオープンにするということに、気持ちにやや乖離があるようだ。
「就活」「婚活」のように「○活」と表現される様々な活動について、現在おこなっているものや熱中しているものはあるかお聞きしました。
全体の回答を見ると、最も手軽に取り組むことができる活動として「菌活」が24.8%でトップに。そんな中、「推し活・ヲタ活」も10.5%と一定の票を集めました。
現在、推している対象についてお聞きしました。
全体の結果を見ると、「実在の人物」が78.0%を集めトップとなり、そこに2次元の「キャラクター」が44.8%で続きました。
「推し活」の定義には諸説ありますが、グッズを購入したり他人に布教したり、あるいは推しのため何かを習得しようと熱心に努力したりと、推しに情熱を注ぐ活動全てをひっくるめて「推し活」と表現されます。
こうした「推し活」の概念が広く浸透したことによって、それまで「趣味」の範疇として捉えられていたあらゆる活動が「推し活」として表現できるようになりました。
推している対象に「人物以外のモノ」が24.8%もの票を集めている様子は、そんな昨今の多様化する「推し活」の状況を表しているようです。
また男女で結果を比較すると、男性は「実在の人物」が72.8%でトップになったものの、「キャラクター」「人物以外のモノ」もそれぞれ54.1%・36.6%とある程度満遍なく票が散らばっています。一方女性は「実在の人物」に81.2%と集中し、「人物以外のモノ」においては17.6%と男性の半分以下にとどまっていました。
これまでにおこなったことがある「推し活」の内容をお聞きしました。下のグラフは、上位10項目を表示しています。
全体の74.0%でトップとなった「インターネットで情報収集する」行動が、最も基本的な推し活のようです。そこに「グッズを買う」「イベントに参加する」「公式ファンクラブ等に入会する」などといった、いわゆる“公式(=運営)”が提供するコンテンツを消費する行動が続きました。
最も特徴的だったのが、男性の場合は“公式”ではない独自活動(特にオフライン)が、女性よりもやや多い点でした。
上記のうち「推している対象に関わる場所へ訪問する」「現地におもむき、推している対象を撮影する」「コミュニティに参加する」といった活動の割合が、それぞれ女性よりも3〜7.8ポイント高くなっています。
推し活について、月平均でどのくらいの金額を費やしているかお聞きしました。
全体の74.5%が、月平均1万円未満という結果になりました。毎月だいたい1万円を越えない金額に収め、家計の負担にならない程度にセーブしている人が多いようです。
20代では月平均「3万円以上~5万円未満」費やす人も13.4%存在していますが、年代が上がっていくにつれ、徐々に推し活に費やす金額が下がっていく傾向がみられました。
推し活について、月平均でどのくらいの時間を費やしているかお聞きしました。
前掲した設問【推し活に費やしている金額(月平均)】同様、やはり年代が上がっていくにつれ、徐々に推し活に費やす時間も減っていく傾向がみられました。
しかし40代・50代においても、月平均「20時間以上」費やす人が20%以上いることがわかります。若年層でなくても、日々の情報収集や映像鑑賞、イベント参戦などを欠かさない熱心な活動家はしっかりと存在しているようです。
推し活をおこなっている現在とおこなっていなかった頃を比べた、自身の変化についてお聞きしました。下のグラフは、上位10項目を表示しています。
全体の約半数が「人生が豊かになった」「人生に充足感を感じるようになった」と回答しており、推し活が生きる上でプラスの影響を与えていることがわかります。
また「辛い時に推している対象を思い出すようになった」「仕事をする目的ができた」など、学業や仕事へのモチベーションの変化についても一定数集まっていました。学業や仕事に前向きになるという変化は、関係する周囲にとってもプラスの変化であることは間違いないでしょう。
推し活をおこなう中で、これまでに感じた困りごとをお聞きしました。下のグラフは、上位10項目を表示しています。
全体的に、回答が分散した結果となりました。「推し活に使用できる金額が少ない」「貯金ができない」がそれぞれ28.4%・24.8%集めており、推し活においてはやはり金銭面の悩みが最も多いことがわかります。
また「共通の趣味を持つ友人がいない」も20.5%集めています。
自分自身が楽しんでやっているか・充実感を持てるかを重要視するのが「推し活」。1人でも十分楽しめますが、やはり共感できる仲間の存在を求めている人は多いようです。
推している対象の話題を、推し活をしていない人に話すことについての自身の気持ちをお聞きしました。
全体の結果を見ると、抵抗があると回答した割合(「抵抗がある」「やや抵抗がある」の合算)は44.6%、抵抗はないと回答した割合(「あまり抵抗はない」「抵抗はない」の合算)は55.3%となり、抵抗なしがやや優勢となりました。
ここで特筆すべきは、同じ若年層でも、20代と30代の回答に大きな差があることではないでしょうか。抵抗はないと回答した割合(「あまり抵抗はない」「抵抗はない」の合算)は、20代で64.5%であるのに対し、30代は46.5%と、18ポイントも低くなっています。
20代の中でも特にZ世代は、SNSネイティブで、個々の趣味嗜好に寛容な価値観を持つため「オタク」という言葉にネガティブなイメージが無い世代。一方30代は「オタク」のイメージが未だネガティブだった時代に、当時全盛期であった日本初のSNS「mixi」やブログサービスを駆使しひっそりとオタク活動をしていた世代。
推しの話題をオープンにするということに、両者の気持ちにはやや乖離があるようです。
前掲した設問【推しの話をすることへの気持ち】にて「抵抗がある」「やや抵抗がある」と回答した人に、その理由をお聞きしました。下のグラフは、上位10項目を表示しています。
全体の結果を見ると、「相手が興味を持ってなさそうだから」が51.3%でトップとなり、そこに「一人で推し活を楽しんでいればそれで満足だから」が45.2%で続いています。「推しを馬鹿にされるかもしれないから」と、相手の共感を得られないことを警戒する割合も26.4%と少なくありません。
推し活をしていない人には自身の推しの話題を出したくない人、つまり、推しのおすすめはしない “布教しないタイプのオタク”は、相手の共感を得られないことへのストレスがネックとなっているようです。
そんな中、前掲した設問【推しの話をすることへの気持ち】にて指摘した特徴通り、やはり30代は「オタクと思われるのが嫌だから」と回答した割合が、他の年代と比較して最も高くなっていました。
推し活をしていることに対し周囲から「やめた方がいい」「お金の無駄遣い」などと言われたことが「ある」と回答した人に、そういった非難の声を浴びせられた後の自身の行動についてお聞きしました。
おこなった行動として最も多かったのが、「推し活につかう金額を減らした」で、全体の27.4%となっています。やはり周囲からは、費やす金額について非難されることが最も多いということでしょうか。
男女で比較すると、女性は「特に行動を変えなかった」割合が53.0%と、男性の36.5%よりも16.5ポイントも高くなっていました。男女では推す対象や非難される理由が異なることもあるため一概には言えませんが、女性は周囲の反対があっても推し活をそのまま貫く傾向にあることがわかります。
■この調査のその他の質問
・「推し活」という行動そのものについて、自分の周囲に広めたいと思うか(単数回答)
・推し活を非難した人は誰か(複数回答) 等
■この調査で使用した調査サービスはコチラ
ネットリサーチ:https://neo-m.jp/research-service/netresearch/
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<例>「生活者を中心にしたマーケティング支援事業を提供する株式会社ネオマーケティングが実施した調査結果によると……」
■「ネオマーケティング」
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